映画評「ヴィジット」
☆☆★(5点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督M・ナイト・シャマラン
ネタバレあり
15年くらい前は世界で一番ギャラの高い監督だったM・ナイト・シャマランの新作だが、彼の作品は徐々に上映規模が縮小している模様。
母親キャスリン・ハーンは19歳で駆け落ち結婚して以来祖父母と交流がないが、祖父母が希望するので孫娘オリヴィア・デヨング嬢と弟エド・オクスンバウルド君が遊びに出かける。一週間滞在の予定で、ビデオ撮影に夢中の姉は、母親と祖父母の確執をテーマにしたドキュメンタリーを製作するつもりである。
優しく迎えてくれた祖父母であるが、祖母は夜中に徘徊して吐瀉するし、祖父は納屋に使用済みの大人用おむつを隠している。祖父は祖母を夕方神経症を患っていると言い、祖母は祖父を認知症であると言う。その言葉に疑う余地はないが、パソコンのカメラがバターで汚されたり、祖父母が娘(兄弟の母親)の話を一切したがらないなど、姉弟にとって不都合な出来事が続き、やがて驚愕すべき事実が明らかになる。
若手が頭角を現すのに便利なホラー映画で大流行しているPOV(主観)映像中心に構成されているが、客観映像も同じくらい挟んでいる辺り、シャマランがベテランの矜持を示している感じがするのは良い。
内容には疑問が多い。特に、孫たちが祖父母の顔を知らないのは、ご都合主義的にすぎる。一番大事な前提が駄目なので、後段の為に置かれた少なからぬ布石が空振りしてしまっている。
汚されるパソコン内蔵のカメラや祖父母が母親の話を避ける件は、真相が判明する終盤への伏線となっているものの、余りにあからさますぎて意外性を弱めている。そして、こうしたどんでん返し的展開に拘っているところにシャマランの限界があり、そこに結局「シックス・センス」での台頭以降、現在まで映画作家として竜頭蛇尾的な印象に留まっている原因があるのではないだろうか。
内容故に余り詳細が書けないのが、シャマランならでつまらん。
2015年アメリカ映画 監督M・ナイト・シャマラン
ネタバレあり
15年くらい前は世界で一番ギャラの高い監督だったM・ナイト・シャマランの新作だが、彼の作品は徐々に上映規模が縮小している模様。
母親キャスリン・ハーンは19歳で駆け落ち結婚して以来祖父母と交流がないが、祖父母が希望するので孫娘オリヴィア・デヨング嬢と弟エド・オクスンバウルド君が遊びに出かける。一週間滞在の予定で、ビデオ撮影に夢中の姉は、母親と祖父母の確執をテーマにしたドキュメンタリーを製作するつもりである。
優しく迎えてくれた祖父母であるが、祖母は夜中に徘徊して吐瀉するし、祖父は納屋に使用済みの大人用おむつを隠している。祖父は祖母を夕方神経症を患っていると言い、祖母は祖父を認知症であると言う。その言葉に疑う余地はないが、パソコンのカメラがバターで汚されたり、祖父母が娘(兄弟の母親)の話を一切したがらないなど、姉弟にとって不都合な出来事が続き、やがて驚愕すべき事実が明らかになる。
若手が頭角を現すのに便利なホラー映画で大流行しているPOV(主観)映像中心に構成されているが、客観映像も同じくらい挟んでいる辺り、シャマランがベテランの矜持を示している感じがするのは良い。
内容には疑問が多い。特に、孫たちが祖父母の顔を知らないのは、ご都合主義的にすぎる。一番大事な前提が駄目なので、後段の為に置かれた少なからぬ布石が空振りしてしまっている。
汚されるパソコン内蔵のカメラや祖父母が母親の話を避ける件は、真相が判明する終盤への伏線となっているものの、余りにあからさますぎて意外性を弱めている。そして、こうしたどんでん返し的展開に拘っているところにシャマランの限界があり、そこに結局「シックス・センス」での台頭以降、現在まで映画作家として竜頭蛇尾的な印象に留まっている原因があるのではないだろうか。
内容故に余り詳細が書けないのが、シャマランならでつまらん。
この記事へのコメント