映画評「レザボア・ドッグス」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1992年アメリカ映画 監督クエンティン・タランティーノ
ネタバレあり

クエンティン・タランティーノのメジャー映画監督デビュー作で、同時代的には「パルプ・フィクション」(1994年)より気に入ったが、今回四半世紀ぶりに見直すと、記憶ほどは面白くなかった。尤も、「ユージュアル・サスペクツ」(1995年)など時間軸をいじくりまくるグループ犯罪映画がこの後大量生産され、それらを見すぎた目で観ればそういうことは十分あり得る。この手の作品の嚆矢と言えるかどうかは定かでないものの、流行を生んだのは確かであろう。本作に影響を与えたと考えられる作品はスタンリー・キューブリックの「現金に体を張れ」(1956年)。本作が「パルプ」より無条件に良いと思えるのは、タランティーノ作品としては短い100分という上映時間である。

ロサンゼルス。ボスのローレンス・ティアニーが息子クリス・ペンに命じて、一見(いちげん)の男同士6人を集めてグループを結成、宝石強盗を仕組む。ドジを踏んだ時に備えてアイデンティティを互いに知られないよう、互いに色で呼ぶことにさせる。
 しかし、仲間に警察のイヌが紛れ込んでいたため撃ち合いになって死者も出る。ベテランのハーヴィー・カイテルは重傷を負ったティム・ロスを連れてアジトの倉庫に逃げ込み、後からスティーヴ・ブシェミやマイケル・マドセンも加わる。マドセンは警官を人質にしており、重体のロス以外の人物がいない間にサイコぶりを発揮して警官を痛めつけ焼殺しようとするが、これを見かねて刑事の正体を現したロスがマドセンを銃殺する。
 そこへペンらが戻ってきて、ボス親子と縁故のあるマドセンの殺害を巡ってメンバーの間に確執が生じていく。

前述通り時間軸は一つではないが、構成としてはほぼ逆進性で、時間が進むに連れて古い話が回想的に挿入され、最後に彼らが集められた様子が紹介された後、最初の逃亡模様が繰り返される。

この仕組みや駄弁の内容に「パルプ・フィクション」の原型が見られ、作家の発展ぶりを知る上で大変興味深い出世作と言うべし。ロスがでっちあげる警官との遭遇場面で、ロスが仲間に語る内容(練習)がそのまま遭遇した警官に語る形で紹介されるたりするのも、洒落っ気がある。

タランティーノは映画好きなので、台詞に映画ネタが多いのに加え、場面的にマカロニ・ウェスタンや香港映画からの引用があって楽しい。こういうのをパクリと指摘するのは品がなさすぎる。

1980年代の終わり頃から時系列をいじくり観客を陶酔させる作品が増えた。僕はマヤカシと見做して世間ほど素直に受け止めないことが多かったですな。

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