映画評「ＳＣＯＯＰ！」

☆☆☆（６点／１０点満点中）
２０１６年日本映画　監督・大根仁
ネタバレあり

動画版パパラッチを扱ったアメリカ映画「ナイトクローラー」と好一対になる邦画のパパラッチもの。

写真週刊誌「SCOOP!」の副編集長・吉田羊が、新人記者の二階堂ふみを、元内縁の夫であるフリー・カメラマン福山雅治の助手に押し付ける。潜在能力のあるふみちゃんを育成するのが主眼であるが、実はうらぶれている元敏腕写真家の福山氏の再生を図るつもりである。それが証拠に、芸能ネタから政治家スキャンダルに進ませ、さらに連続婦女暴行殺人事件の犯人の写真を撮る冒険をやる気にさせる。
　彼は警察にお灸をすえられた後、今度は自分の娘を人質にして拳銃を持って街を彷徨する情報屋リリー・フランキーに同行するが、福山の目的は若き相棒に決定的写真を撮らせることである、その為に自分が死ぬことがあっても。

パパラッチを主題にしたという意味で前述したように「ナイトクローラー」と好一対と言えるが、リアルさを前面に押し出しドライに押し切ったあのアメリカ映画に比べると、本物らしさを狙おうとして却って人物造形がやや大げさになり、作り物めいた感じがにじみ出てしまっていること、最後に主人公を殺してしまう辺りに逆の人情味が出すぎていること、といった具合に質としてはちと及ばない。
　パパラッチという素材が特に邦画としては珍しく、職業紹介編として一定の興味を持てる内容と思われるので、映画に真面目に向かう気があれば、そうつまらなくもない。

イメージは「FRIDAY」ですかな。スクープされる国会議員（斉藤工）は「将来の首相候補」と言われているし、小泉進次郎氏がイメージじゃね。