映画評「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年イギリス=ベルギー=アメリカ合作映画 監督ティム・バートン
ネタバレあり

ティム・バートンは苦手で、殆どの作品において世評より厳しく評価していると思うが、このYA向きというより児童向けのファンタジーはなかなか気に入った。

奇妙な冒険譚を話してくれる祖父テレンス・スタンプを奇怪な形で失ったハイティーンのエイサ・バターフィールドが、精神分析医に進められて、祖父の思い出のあるウェールズの小さな島を父親クリス・オダウドと訪れる。
 島を探るうちに別の時空に入り込み、1943年戦時中になり、祖父も過ごした児童院の住人たちと知り合う。子供たちは異能者ばかり。そして美人院長エヴァ・グリーンは隼(ペレグリン)に変身でき、かつ、時間をコントロールする能力があり、島の現在は43年のある一日だけを繰り返すようになっている。
 ところが、この空間を壊すことで永久の命を得ようとする異能者のなれの果てサミュエル・L・ジャクスンとその一味が襲い掛かって来る。そのうちホローと呼ばれる怪物は異能者たちにも見えず、平凡な少年と思われていたバターフィールド君だけが見える。彼らは現在の特殊空間が壊された後、別の特殊空間に沈没した船を駆って移動、夫々の能力を最大限に発揮し、強力な一味と対決する。

バートンらしいグロテスク趣味が横溢しているが、僕が気に入ったのは、やはり忍者合戦的な特殊能力が色々と繰り出されるからである。複数の超能力者が出てくるお話では、「Xメン」シリーズを持ち出すまでもなく、一人ではなく色々な人が等しく能力を発揮して活躍するのが理想的。本作などはそれに尽きる感じである。

通常のタイプ・トラヴェルもの、同じ時間を繰り返すタイム・ループもの、超能力ものとを併せて大いに賑やか、余分なメッセージを入れずに(ホロコーストの暗示→現在の民族問題の暗示はあるけれども)児童向けらしく作られているのが大いによろしい。

アルゴ探検隊の大冒険」(1963年)へのオマージュに大受け。バートン監督、本当にハリーハウゼンが好きなんだなあ。

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