映画評「ドクター・ストレンジ」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督スコット・デリクスン
ネタバレあり
またまたマーヴェル・コミックでござる。このジャンルの総論に関してはくどく同じことしか言っていないので、今回は繰り返しは避けましょう(本当か?)。
卓越した技術を持つ外科医ストレンジ医師(ベネディクト・カンバーバッチ)が、交通事故を起こして重傷を負い、手先の自在を失ってしまう。自分が手術をしていたらと思っても甲斐なきことで、様々な西洋医術を試みるも無駄。
ある時脊髄を損傷して医者に見放された男が歩いていることを知った医師は、男から教えられたカトマンズの修行場へ赴き、最初は訝しく思うものの、最高指導者の“エンシェント・ワン”(ティルダ・スウィントン)の能力に仰天、修行に励むことになり、遂には空間を超える能力を得る。
そんな折に魔界次元の魅力に抗しきれず永遠の命を持とうと指導者に逆らった悪漢カエシリウス(マッツ・ミケルセン)の一党が彼らをやっつけようと乗り込んでくる。
最終的にはスーパーヒーローものというところに収斂するも、これがなかなかの新機軸で、マジックのイリュージョンの感覚である。他のスーパーヒーローがどんなに派手な離れ業を見せようとも現実に立脚しているのに対し、本作における現実は非常に限られる。実際に「現実世界に影響を与えない」なんて言葉が出てくるほど。その結果、他のスーパーヒーローものよりぐっと視覚に依拠する映画となり、VFX時代に誠にふさわしい内容と言いたくなる。
見せ場については一々触れないが、シュールレアリスム的な画面が多く出てくる。時間が止まったところである人物だけが動くという画面はよく見るが、全体がマイナスの時間進行の中で関係者だけがプラスの時間進行にいるという映像はまさにシュールで、ここは述べておく価値がある。
ここまで来ると、良くも悪くも、完全に視覚優先のアトラクションと言わざるを得ず、映画として或いはお話としてどうのこうの言うのも野暮ではないかという気になるわけで、大きなスクリーンで堪能するに如かず。勿論映画館で観なかった(笑)僕は、「音だけでも」とコンポを通しかなりの音量で観た。音質的には大満足というところまでは行かずも、音楽CDでは滅多に遭遇しない超低音に痺れた。
といった次第で、大枠の中では似たり寄ったりであるにしても、原作者スタン・リーの湧き出るアイデアは泉の如しと感心するほかない。
純内容面については、正義は時に悪徳に優るとも劣らぬ面倒くささを持つ・・・というところが印象に残る。行き過ぎたポリティカル・コレクトネスみたいなものでござる。これが次作のテーマになるだろう。
主人公が車を走らせている場面でかかるのは、ピンク・フロイド「インターステラ―・オーヴァードライヴ」。アート・ロック時代の先鋭的楽曲でござる。こうしてBGMとして使われると実に格好良いね。
2016年アメリカ映画 監督スコット・デリクスン
ネタバレあり
またまたマーヴェル・コミックでござる。このジャンルの総論に関してはくどく同じことしか言っていないので、今回は繰り返しは避けましょう(本当か?)。
卓越した技術を持つ外科医ストレンジ医師(ベネディクト・カンバーバッチ)が、交通事故を起こして重傷を負い、手先の自在を失ってしまう。自分が手術をしていたらと思っても甲斐なきことで、様々な西洋医術を試みるも無駄。
ある時脊髄を損傷して医者に見放された男が歩いていることを知った医師は、男から教えられたカトマンズの修行場へ赴き、最初は訝しく思うものの、最高指導者の“エンシェント・ワン”(ティルダ・スウィントン)の能力に仰天、修行に励むことになり、遂には空間を超える能力を得る。
そんな折に魔界次元の魅力に抗しきれず永遠の命を持とうと指導者に逆らった悪漢カエシリウス(マッツ・ミケルセン)の一党が彼らをやっつけようと乗り込んでくる。
最終的にはスーパーヒーローものというところに収斂するも、これがなかなかの新機軸で、マジックのイリュージョンの感覚である。他のスーパーヒーローがどんなに派手な離れ業を見せようとも現実に立脚しているのに対し、本作における現実は非常に限られる。実際に「現実世界に影響を与えない」なんて言葉が出てくるほど。その結果、他のスーパーヒーローものよりぐっと視覚に依拠する映画となり、VFX時代に誠にふさわしい内容と言いたくなる。
見せ場については一々触れないが、シュールレアリスム的な画面が多く出てくる。時間が止まったところである人物だけが動くという画面はよく見るが、全体がマイナスの時間進行の中で関係者だけがプラスの時間進行にいるという映像はまさにシュールで、ここは述べておく価値がある。
ここまで来ると、良くも悪くも、完全に視覚優先のアトラクションと言わざるを得ず、映画として或いはお話としてどうのこうの言うのも野暮ではないかという気になるわけで、大きなスクリーンで堪能するに如かず。勿論映画館で観なかった(笑)僕は、「音だけでも」とコンポを通しかなりの音量で観た。音質的には大満足というところまでは行かずも、音楽CDでは滅多に遭遇しない超低音に痺れた。
といった次第で、大枠の中では似たり寄ったりであるにしても、原作者スタン・リーの湧き出るアイデアは泉の如しと感心するほかない。
純内容面については、正義は時に悪徳に優るとも劣らぬ面倒くささを持つ・・・というところが印象に残る。行き過ぎたポリティカル・コレクトネスみたいなものでござる。これが次作のテーマになるだろう。
主人公が車を走らせている場面でかかるのは、ピンク・フロイド「インターステラ―・オーヴァードライヴ」。アート・ロック時代の先鋭的楽曲でござる。こうしてBGMとして使われると実に格好良いね。
この記事へのコメント
おおっ!
さっそく昨日録画したのをチェックしてみます
>おおっ
実はピンク・フロイドが好きなんです。
格好良い!