映画評「レイルロード・タイガー」
☆☆★(5点/10点満点中)
2016年中国映画 監督ディン・シェン
ネタバレあり
ジャッキー・チェンの最新作は、1941年の抗日レジスタンスの活躍を描くアクション・コメディーだから、それだけを理由に楽しめない日本人も多いだろう(抗日運動を扱っているからと言って反日的とは限らないが、本作にはその気がある)が、僕はそこには与しない。僕の不満は、数段面白くなるであろう素材がこの程度の出来栄えに終わったのが残念であるということに尽きる。
抗日レジスタンスをこっそり指揮している鉄道労務者チェンは、ある時逃げ込んできた中国軍人ワン・ダールーに救いの手を差し伸べる。彼の部隊は日本軍の物資輸送を阻止する為の大橋爆破の任に就いていたが、作戦は失敗して彼だけが生き延びたという次第。チェンのグループは男気を発揮して、その作戦を引き継ぐことにするが、素人集団につき出たとこ勝負しか出来ない。倉庫から爆弾を盗み出したのを手始めに、走行する貨車から盗み出そうと図る。その動きに日本軍の指揮官・池内博之も気づき、彼が繰り出す網をチェンのグループは潜り抜けて爆破に成功することができるだろうか?
汽車マニアではないけれど、クラシックな機関車が出ずっぱりなのが嬉しい。映画に出て来る汽車はロマンティシズム満点ではあるし、汽車が関わってくるサスペンスには面白いものが多いからである。
本作は戦前の冒険アクションのような古典的な見せ方がされている。漫画のようなタイトルに挟まれて進行するアイデアは中国映画としては新しいが、世界的に見れば寧ろクラシックな感じがして楽しめるのは、怪我の功名のような感じ。
しかし、爆弾をどう盗んで橋をどう爆破するかというワン・アイデアを生かすような細かい知恵が不足している。アイデア不足を少なからずメンバーを繰り出し笑いでごまかしている感じで、気が抜けるところ多し。
クライマックスの見せ方も日本軍の列車とそこへ突っ込んでいく別の列車の位置関係が解りにくく、サスペンスフルとは言い難い。ここなど、カット割りの上手い監督ならぐっと手に汗握らせることができたはずなのだが。
しかも、前回のチェン主演作品もそうだったが、クライマックスを引っ張り過ぎてもたれる。列車に免じてこの☆★にしたということをご理解されたし。
中国人扮する日本人の話す聞き取りにくい日本語に時々字幕がつくのが笑える。邦画「ウンタマギルー」では琉球語(琉球方言)に字幕がついたけれど。
2016年中国映画 監督ディン・シェン
ネタバレあり
ジャッキー・チェンの最新作は、1941年の抗日レジスタンスの活躍を描くアクション・コメディーだから、それだけを理由に楽しめない日本人も多いだろう(抗日運動を扱っているからと言って反日的とは限らないが、本作にはその気がある)が、僕はそこには与しない。僕の不満は、数段面白くなるであろう素材がこの程度の出来栄えに終わったのが残念であるということに尽きる。
抗日レジスタンスをこっそり指揮している鉄道労務者チェンは、ある時逃げ込んできた中国軍人ワン・ダールーに救いの手を差し伸べる。彼の部隊は日本軍の物資輸送を阻止する為の大橋爆破の任に就いていたが、作戦は失敗して彼だけが生き延びたという次第。チェンのグループは男気を発揮して、その作戦を引き継ぐことにするが、素人集団につき出たとこ勝負しか出来ない。倉庫から爆弾を盗み出したのを手始めに、走行する貨車から盗み出そうと図る。その動きに日本軍の指揮官・池内博之も気づき、彼が繰り出す網をチェンのグループは潜り抜けて爆破に成功することができるだろうか?
汽車マニアではないけれど、クラシックな機関車が出ずっぱりなのが嬉しい。映画に出て来る汽車はロマンティシズム満点ではあるし、汽車が関わってくるサスペンスには面白いものが多いからである。
本作は戦前の冒険アクションのような古典的な見せ方がされている。漫画のようなタイトルに挟まれて進行するアイデアは中国映画としては新しいが、世界的に見れば寧ろクラシックな感じがして楽しめるのは、怪我の功名のような感じ。
しかし、爆弾をどう盗んで橋をどう爆破するかというワン・アイデアを生かすような細かい知恵が不足している。アイデア不足を少なからずメンバーを繰り出し笑いでごまかしている感じで、気が抜けるところ多し。
クライマックスの見せ方も日本軍の列車とそこへ突っ込んでいく別の列車の位置関係が解りにくく、サスペンスフルとは言い難い。ここなど、カット割りの上手い監督ならぐっと手に汗握らせることができたはずなのだが。
しかも、前回のチェン主演作品もそうだったが、クライマックスを引っ張り過ぎてもたれる。列車に免じてこの☆★にしたということをご理解されたし。
中国人扮する日本人の話す聞き取りにくい日本語に時々字幕がつくのが笑える。邦画「ウンタマギルー」では琉球語(琉球方言)に字幕がついたけれど。
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