映画評「3月のライオン 後編」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年日本映画 監督・大友啓史
ネタバレあり

続けて観たので実際には“いよいよ”という感じはないが、いよいよ後編である。

友人の富豪棋士・二階堂(染谷将太)の病気につけ込んで新人王決定戦に出てきた相手を破り新人王を取った桐山零(神木隆之介)は、川本家の次女ひなた(清原果耶)が学校でイジメに遭っている現実を知り、彼女の為に一肌脱ごうとするが、結局彼女自身と先生が追い込まれた学校の協力して解決する。
 ところが、今度は今は亡き病気の母親の世話もせずに家を出て子供を設けていた父親(伊勢谷友介)が経済的に追い込まれた為に一緒に暮らそうと押しかけてくる。零は今度こそ役に立とうと奮い立つが、勇み足気味になり姉妹たちとの関係がぎくしゃくしてしまう。
 しかし、将棋界に君臨する宗谷(加瀬亮)への挑戦権を握る後藤(伊藤英明)との対局で突然自分を覆っていた闇を突き破り、かくして、父を拒否した姉妹との関係も復旧した後、零はいよいよ宗谷との対戦を迎える。

前編で疑問を覚えた川本家の長い描写の意味がこの後編で明確になり、大きな起伏により表面的な面白さは増すが、全体の群像劇的印象がいよいよ強調され、ちと首を傾げさせる。
 実際、映画が終わってみると、主人公・零の“将棋が好きでやっているのか”という問いに対する答えを自ら発見する内容になってい、群像劇風に色々な人物が扱われているように見えながら実はそれを明らかにしていく為の駒にすぎないと解釈できることを考えると、主人公以外の登場人物の扱いが主題との関係に必ずしもふさわしいとは言いがたい。特に、将棋をテーマにした作品としたことを考えると、川本家のバランスが大きすぎるのである。

前編・後編共に単独で考えるとバランスが悪いが、合わせれば格好になっている。元来一本であるべき作品だからそれは当然で、別々に評価するからそんな欠点を指摘する羽目になる。
 といった次第で、僕のように映画の作り方や構成の仕方などを考えずに物語を追うだけであれば、人生行路を将棋の展開になぞらえるような形になってはいるし、そこそこ楽しめるだろうと思う。原作ファンは、長い原作と同じように作れる筈もないのに例によって意味をなさない苦情を垂れていますがね。

言うまでもないだろうが、宗谷の人物像は羽生善治氏を意識していますな。

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