映画評「ピノキオ」(1940年)

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1940年アメリカ映画 監督ベン・シャープスティーン、ハミルトン・ラスク
ネタバレあり

カルロ・コッロッディの童話は日本でもお馴染みで僕も少年時代に読んだが、“嘘をつくと鼻が伸びる”ということ以外は憶えていなかった。78年前にディズニーにより脚色されたこのアニメを初めて観たのは割合最近で、20年くらい前に過ぎない。

有名な歌曲「星に願いを」はこの作品から。

おもちゃ職人ゼペットじいさんは、完成させた操り人形ピノキオが本当の子供になるように星に願いををかけて眠る。やがて妖精が現れ、コオロギを良心を教える係にして命を吹き込む。ピノキオは自分で動けるようになり、翌朝学校へ向かうが、狐と猫に騙されて人形劇団へ売られ、評判は取ったものの悪党の親方に籠に閉じ込められてしまう。
 そこへ妖精が再び現れて最後のチャンスとして解放してもらう。この時に例の鼻が伸びる場面がある。

じいさんのところへ戻る途中再び現れた狐らにより今度は人買い商人に売られ、やりたい放題させてもらった子供たちは尽くロバにされてしまう。一部ロバになったピノキオがコオロギと共に家に戻ると、家にじいさんはいない。天から落ちてきた手紙により、じいさんが大クジラに呑まれたと知ったピノキオたちは救いに向う。

原作の要素をうまく換骨脱退したお話で、ロバになった子供たちのその後が解らないのが怖いが、全体としては非常に伸び伸びと素直に子供向けらしく作られているのが良い。
 一応“誘惑”に抵抗できる力を持てという説教が打ち出されているものの、一時のディズニー・アニメみたい押しつけがましくなく後味は爽やか。

日本でモノクロ映画しかなかった1940年にこんな発色の良いカラー映画がアメリカでは作られていた。日本で観られたのは1952年であるが、それでも当時の日本人はこの作品の色に驚いたのではないだろうか。線画の中に時々水彩画のようなタッチが入ってくるのが珍しい。

今回観たのは1983年リバイバル時の日本語版。狐の声を懐かしい山田康雄が当てている。

アニメは吹き替え版でもよろし。

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