映画評「去り行く男」
☆☆☆(6点/10点満点中)
1955年アメリカ映画 監督デルマー・デーヴィス
ネタバレあり
新天地を目指していたカウボーイのグレン・フォード(役名ジュバル=原題)が道に迷って崖から落ち怪我を負い、そこへ通りかかった牧場主アーネスト・ボーグナインに助けられ、彼の牧場で働くことになる。牧童ロッド・スタイガーは疑り深い男で、夫への不満を禁じ得ない牧場主の若い妻ヴァレリー・フレンチがフォードに色目を使っていることへの嫉妬を加えて徹底的に敵視する。スタイガーに“二人は懇ろだ”と騙されたボーグナインはフォードを撃ち殺そうとし、彼が正当防衛をした結果牧場主は死ぬ。スタイガーは、新興宗教の幌馬車隊に紛れ込んだフォードを追う。
序盤「シェーン」(1953年)のような展開を予想させながら、夫婦の仲が夫が期待するほど良くなく、しかも牧童が疑り深い為、次第にこれらの人物の色々な思惑が交錯する心理ドラマの様相を呈し、断然優秀という程ではないものの、お話が進行するに連れて面白味が増していく。同時に、監督がデルマー・デーヴィスということで、環境描写の美しさが際立ち、純然たる映画ファンには映画としてこれが一番の見ものということになろうかと思う。
かくして活劇としての魅力は乏しいわけだが、フォードが無名時代のチャールズ・ブロンスンと組んで見せるアクションに後年のマカロニ・ウェスタンを思わせるものがあり、この時代のものとしては新鮮。後年の作品に影響を与えた可能性が高い。
デーヴィスが翌年作る「襲われた幌馬車」と同様に幌馬車隊の娘役でフェリシア・ファーが共演。
僕が意識して見た最初の西部劇の監督がデルマー・デーヴィスでした。
1955年アメリカ映画 監督デルマー・デーヴィス
ネタバレあり
新天地を目指していたカウボーイのグレン・フォード(役名ジュバル=原題)が道に迷って崖から落ち怪我を負い、そこへ通りかかった牧場主アーネスト・ボーグナインに助けられ、彼の牧場で働くことになる。牧童ロッド・スタイガーは疑り深い男で、夫への不満を禁じ得ない牧場主の若い妻ヴァレリー・フレンチがフォードに色目を使っていることへの嫉妬を加えて徹底的に敵視する。スタイガーに“二人は懇ろだ”と騙されたボーグナインはフォードを撃ち殺そうとし、彼が正当防衛をした結果牧場主は死ぬ。スタイガーは、新興宗教の幌馬車隊に紛れ込んだフォードを追う。
序盤「シェーン」(1953年)のような展開を予想させながら、夫婦の仲が夫が期待するほど良くなく、しかも牧童が疑り深い為、次第にこれらの人物の色々な思惑が交錯する心理ドラマの様相を呈し、断然優秀という程ではないものの、お話が進行するに連れて面白味が増していく。同時に、監督がデルマー・デーヴィスということで、環境描写の美しさが際立ち、純然たる映画ファンには映画としてこれが一番の見ものということになろうかと思う。
かくして活劇としての魅力は乏しいわけだが、フォードが無名時代のチャールズ・ブロンスンと組んで見せるアクションに後年のマカロニ・ウェスタンを思わせるものがあり、この時代のものとしては新鮮。後年の作品に影響を与えた可能性が高い。
デーヴィスが翌年作る「襲われた幌馬車」と同様に幌馬車隊の娘役でフェリシア・ファーが共演。
僕が意識して見た最初の西部劇の監督がデルマー・デーヴィスでした。
この記事へのコメント
>デルマー・デーヴィスという監督は、環境描写に秀でた監督で、彼の西部劇はいつも風景が美しいです。
ロッキー山脈でしょうか?いきなり美しい風景が現れます。
>無名時代のチャールズ・ブロンスン
この時点で後に大物俳優になりそうなオーラがあります。
>ロッド・スタイガー
いかにも曲者の役が似合いそうな人です。
>>「絞首」で見せしめ公開処刑。無茶苦茶です!
>まだ未確定の情報。
>イラクの大量破壊兵器のように誤情報であることを願います。
そう思います。
先ほど見た地方テレビのニュース。名古屋の繁華街である栄で反戦デモをするロシア人。
「私たちは日本にいるから、こういう事が出来る。母国ロシアではとても出来ない!」
現在自分がどこに住んでいるのか?それって大きいです。
>ロッキー山脈でしょうか?
調べたところ、ロケはワイオミング州。従って、ロッキー山脈ですね。
>>ロッド・スタイガー
>いかにも曲者の役が似合いそうな人です。
基本的に悪役の人でしたね。
「夜の大捜査線」は悪役ではないけれど、癖のある警察署長を好演していました。個人的には、「質屋」が最高の名演。
>現在自分がどこに住んでいるのか?それって大きいです。
ロシヤ人だからと言って差別してはいけません。今回の戦争はプーチンの戦争ですから、少なくとも在外のロシヤ人に何の罪もありません。
その辺りを含めて、僕の大学の後輩たち(ロシヤ語関係)が、色々と声明を出しています。
>従って、ロッキー山脈ですね。
それを舞台にした西部劇が多いでしょう。
>「夜の大捜査線」は悪役ではないけれど、癖のある警察署長を好演していました。
仰る通りです(拍手!)
>個人的には、「質屋」が最高の名演。
一度見たいです。
>その辺りを含めて、僕の大学の後輩たち(ロシヤ語関係)が、色々と声明を出しています。
プーチンに対する批判?そして共産主義や東側に対する意見でしょうか?
>「底抜け大学教授」を見ました。
小学生時代にジェリー・ルイスはよく放映されていて、ゲラゲラ笑っていました。しかし、高校生くらいになったら、まるで笑えなくなりましたね。
で、今回とりあえず録画しておこうかと思いましたが、何やらかんやらで、忘れてしまいました。
双葉師匠に限らず、阿呆型コメディーは程度の低いと言わざるを得ないものが多いです。受けるのは、前述したように、小学生くらいでしょうね(笑)
>>「質屋」
>一度見たいです。
モノクロですが、凄い映画ですよ。
>プーチンに対する批判?
ウクライナ侵攻への非難。あるいは後輩たちへの励ましのような内容もありましたね。
ロシア語をやっているだけで、差別されかねないですから、そういうことへの想いもあるのだと思います。今回の侵攻で一番傷ついているのは、ロシアやロシア語について研究している人です。
ロシア文学展が中止となったことを、数年前まで我が大学の学長をやっていた亀山郁夫先生が、今日の東京新聞で批判していました。ドストエフスキーこそ悪への抵抗を書いていたのだ、と。
僕らが在学中の頃はロシヤ語科でしたが、今はロシア語科というようです。原発音より世間に迎合したんですね(ちと寂しい)。
>ワクチン4回目接種 政府5月開始目指す
昨日僕は夕方3回目の接種。先ほど目が覚めてしまいましたが、今のところ発熱は無しです。
この映画で他に個性派俳優と言えばジャック・イーラム。
僕が彼を初めて見たのは「キャノンボール」のドクター役。その後遡って「ウエスタン」「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」「ベラクルス」など。画面に出てきた瞬間に「あ、あの人だ!」と分かりますね(笑)。
>阿呆型コメディーは程度の低いと言わざるを得ないものが多いです。
確かにドリフその他には影響を与えたと思いますが(苦笑)。
>数年前まで我が大学の学長をやっていた亀山郁夫先生
オカピー教授、やはり優秀な大学卒なんですねー!
>原発音より世間に迎合したんですね(ちと寂しい)。
ヴよりもブという流れもあるようですね。
ロバート・ヴォーンがロバート・ボーン。
>ウクライナ、ロシアとの停戦交渉で「重大な困難」
進展がないままです。
>夕方3回目の接種。先ほど目が覚めてしまいましたが、今のところ発熱は無しです。
僕はずっとモデルナですが、3回目は副作用が軽微でしたね。とにかく前回がひどすぎた。
>ジャック・イーラム。
西部劇の悪役一筋(笑)。
この人を見ると、後年のマーティ・フェルドマンを思い出す。テリー伊藤に似ているという噂もありますね(笑)
>確かにドリフその他には影響を与えたと思いますが(苦笑)。
そうですね。
子供の頃ドリフを良く観ていたので、後年アメリカの古い喜劇を見ると、彼らが色々とそうした喜劇人の影響を受けたことが確認できて面白いデス。
実を言うと、デスをカタカタで書くのは、ジェリー・ルイス主演の「お若いデス」からの借用なのであります。
>ヴよりもブという流れもあるようですね。
これは行ったり来たりですね。
僕が子供の頃は殆どヴという表現はなかったように思います。映画雑誌【スクリーン】は徹底してこれで通していますけれど。
>進展がないままです。
世界大戦や核戦争を怖れるので、米国やNATOがロシアを攻められないわけです。歯がゆいけれど仕方がない。ウクライナの為に世界を滅亡させるわけにも行かない。
彼らは、ロシアが化学兵器を使っても攻撃しないでしょうし、小型であれば戦術核を使っても文句を言うだけに終わる可能性が高いデス。今いちばん怖いのがこれですね。
>>夕方3回目の接種。今のところ発熱は無しです。
>とにかく前回がひどすぎた。
僕は前回コメントを書いた3月24日夜に発熱。やはり侮ってはいけなかったです。
>テリー伊藤に似ているという噂もありますね(笑)
よく似ています。
バイオリンが好きな牧童役で「ロックフォードの事件メモ」の父親役の人も出ていました。
https://www.youtube.com/watch?v=nzfdaFTRx0I
>デスをカタカタで書くのは、ジェリー・ルイス主演の「お若いデス」からの借用なのであります。
それも良き影響です。
>映画雑誌【スクリーン】は徹底してこれで通していますけれど。
【スクリーン】か?【ロードショー】か?覚えていないのですが、「ロッキー」が大ヒットした頃です。
解説でシルヴェスタア・スタロオン、バアト・ヤング、バアジェス・メレディス、カアル・ウェザアスと言うように「ー」を徹底して使わない人がいました。それもまた良きかな?
>ウクライナの為に世界を滅亡させるわけにも行かない。
ベラルーシ大統領は「アメリカがイラクに対してやった事はどうでもいいのか?」と言ってましたね。
>僕は前回コメントを書いた3月24日夜に発熱。やはり侮ってはいけなかったです。
そうですか。それは難儀でしたね。
しかし、概して前回より軽いという話です。蟷螂の斧さんは如何でしたか?
>「ロックフォードの事件メモ」
これは少しだけ観ましたね。
で、自己紹介的な日本語吹き替えが、「ルパン三世」第一シリーズを想起させます。毎回ではありませんが、ああいう感じのものがありました。
>「ー」を徹底して使わない人がいました。それもまた良きかな?
【スクリーン】の津村秀夫氏ですね。
【スクリーン】では批評家の表記も誌の表記に揃えていましたが、多分津村氏は自分の表記に拘って認めなかったのでしょう。書くものもいかにも頑固爺さんという感じでした。
>ベラルーシ大統領は「アメリカがイラクに対してやった事はどうでもいいのか?」と言ってましたね。
先日の「朝まで生テレビ」で田原総一朗氏がほぼ同じ事を言っていました(勿論彼はロシアの侵攻に大反対の立場です)が、要は、アメリカのやった事は国連やその他の国の同意をある程度得た上でやっていますが、ロシアはそれをやっていない。また、意図的に民間人を殺していない。この差は大きいと思います。間違い(大量破壊兵器がなかったこと)は間違いできちんと認めましたしね。ロシアはウクライナにそれがないことを認めるどころか、もしかしたら自分で使ってそれをウクライナとアメリカのせいにする可能性があります。拉致をして人質作戦を採りそうですし。
中国も国としてはロシア支援の立場ですが、大企業は経済制裁が怖いので、協力しないようですよ。
>蟷螂の斧さんは如何でしたか?
1・2回目がファイザー。副反応が大した事はなかっただけに3回目はきつかったです。
>自己紹介的な日本語吹き替えが、「ルパン三世」第一シリーズを想起
なるほど。草分けです。
>【スクリーン】の津村秀夫氏ですね。
それがパッと出てくるのがさすがオカピー教授です!
頑固爺さんですか?そして息子さんは役者(ウルトラマンタロウに出てくる隊員役)と知って驚きました。
>アメリカのやった事は国連やその他の国の同意をある程度得た上で
それならば止むを得ないって事ですね。要は国連次第。
>大企業は経済制裁が怖いので、協力しないようですよ。
さすが中国です。強かです。
>新年度
管理職が変わる。職場の人間関係も変わる。威張りだす奴がいる。4月になるといろいろ環境が変わります。
>ウィル・スミスの件
人の悪口を言うのを潔しとしない日本人は、暴力絶対反対派の多い欧米人よりスミスを擁護する率が高いようです。暴力が嫌いな僕も日本人ですから、スミスの気持ちも解りますね。
>1・2回目がファイザー。
なるほど。相対的に3回目がきついかもしれませんね。
多くの方が体験したように、2回目のモデルナは強烈でしたよ。しかし、それを理由に回避する気は全くなかったですね。
僕は造影剤でアナフィラキシーショックを起こした経験があるので、3回とも寝ながら打ってもらいました。
>津村秀夫氏
>息子さん
弟が津村信夫と言って、百科事典にも載っている詩人です。若くして亡くなったと記憶しています。
熱血漢だった若き双葉師匠が敢行した、「商船テナシチー」という映画の津村氏の評への大反論が圧倒的でしたよ。客観的に見て、双葉師匠が正論だと思いました。二人は試写会などで会うこともあったはずですが、どういう風の態度を取ったのでしょうかねえ。
>要は国連次第。
国連安全保障理事会に中国とロシアがいて、(自分達と似た)専制主義もしくは独裁国への制裁となると必ず拒否権を発動して機能していないとも言われますが、拒否権が乱発する為に大きな問題に発展することが少ないという意見もありますね。
ブッシュがかつて北朝鮮やイラクをならず者国家と言いましたが、ロシアは大ヤクザ国家ですね。あれほどのデタラメを言い、するとは、今でも信じられない思いがします。