映画評「オレの獲物はビンラディン」

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督ラリー・チャールズ
ネタバレあり

ポラット」「ブルーノ」という下品極まりないモキュメンタリーで楽しませたり、閉口させたりしたラリー・チャールズの作品ではあるし、こんな邦題だから、前述二作品の繰り返しと思ったら、実話を基にしたドラマである。よく解ったのは、この監督は単独ではそれほど下品に走らないこと。推測通り、出演もしていた脚本主筆のサシャ・バロン・コーエンの趣味なのであった。

アメリカ当局がビンラディン逮捕に苦労していると知った一人の奇人ゲイリー・フォークナー(ニコラス・ケイジ)が色々と金策し船を作ったりビザを貰うのにも苦労したりした末に漸くパキスタンに辿り着き、ビンラディンを探そうとするが、そうは問屋が卸さない。

というお話で、時々長髪の神様が出て来て茶々を入れる。他人から見れば幻想だが、本人にとってはニコラス・ケイジならぬ啓示というやつで、学生時代の知り合いである美人マーシ(ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ)との関係を交えて、馬鹿らしいながらも楽しく作られている。WOWOWで観る分には御の字でござる。

似たような役ばかりやっていたケイジが変人を、いつもより高いトーンで話しながら楽しそうに演じているのが一番の収穫だったですかな。まだまだやれるではないか。

無神論の人が言うのは「人が神に似せて作られたのではなく、神が人に似せられて作られた」ということ。神がいるとしたら自然、或いは宇宙を動かす力そのものと思う。

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