映画評「アメリカン・アニマルズ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年アメリカ=イギリス合作映画 監督バート・レイトン
ネタバレあり

映画としては作り方が面白いが、TVでは年がら年中やっているタイプに過ぎない。
 実話そのものの映画化で、実際の人物が彼等を演じる役者共々交互に出演するというのが珍しいわけだが、TV「アンビリバボー」では多くこの形式なので、な~んということはない。まあ映画的に再現部分を懇切丁寧に撮っているというくらいのもの。
 2004年に実際にあった犯罪事件。以下の如し。

ケンタッキー州の美術に興味のある大学生スペンサー(バリー・コーガン)がトランシルヴァニア大学図書館の特別室に、博物学者ジョン・ジェームズ・オーデュポンの時価1200万ドルの稀覯本「アメリカの鳥類」のあるのに気づき、悪友ウォーレン(エヴァン・ピーターズ)に報告する。
 これに俄然興味を持ったウォーレンが盗んでやろうと発案、「オーシャンズ11」や「レザボア・ドッグス」などの泥棒映画を参考に、見張りや逃走用の車を運転する人員としてさらに二人の知人大学生アレンとチャールズを加え、犯行に及ぶが思ったように進まず、携帯電話から足が付き、4人とも7年間服役することになる。

余りに間抜けなお話だから、実話を基にした映画とする代わりに、本人たちを出演させる実話そのものの再現ドラマ映画となったのだろう。
 先述したようにTV「アンビリバボー」詳細版で、映画でこれをやると新鮮な気がするのだから人間というのは実にいい加減なものである。

アルフレッド・ヒッチコック「ロープ」など天才誇示テーマのヴァリエーションで、彼らは自分達が天才であることを証明する代わりに、“特別になる”為に犯罪を起こすのである。しかし、元来平凡な若者たちであるから、特別になることなどできない。特別になることなど人生において大した価値がない、というのが謂わばこの作品のメッセージである。

TVの再現ドラマと違う映画的な見せ方は、パソコン越しに人物が見えるショット(冷蔵庫を開けた人物が冷蔵庫側から見えるのと同じアイデア)、スタンリー・キューブリックのモノクロ泥棒映画「現金に体を張れ」を見た後ウスペンサーかウォーレンがモノクロになるショット、ウォーレンが古物屋の情報を持つ男と交錯する箇所の巻き戻しといった辺り。ドキュメンタリー出身の監督バート・レイトンとしてはドラマ映画初演出として張り切ったのだろう。
 後半この類の手法が一切見えなくなって尻すぼみ気味なのは惜しいが、奮闘は認めたい。

この二日前に観た「サンダーボルト」も出て来たよん。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック