映画評「パパは奮闘中!」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年フランス=ベルギー合作映画 監督ギヨーム・セネズ
ネタバレあり

30年くらい前に「パパは、出張中!」という映画があったが、この映画を買った配給会社の人はその題名が頭に残っていたのかもしれない。

製造工場で班長クラスの職務を担当しているロマン・デュリスは、殆ど一人で小学生の息子バジル・グルンベルガーと娘レナ・ジラール・ヴォスの育児をしている妻ルシー・ドベに突然出て行かれ、慣れない育児に大弱り。会社は会社で自殺したり、妊娠を理由に解雇されたりする同僚が現れ、こちらも大変だ。
 子育てに関しては老母や妹に面倒を見て貰える時もあるが、二人とも仕事があり、いつまでも頼れない。子供たちは大いにすねる。組合側から専従職員になる話が来る一方、会社に忠実だった人事係の女性が首になってその後釜になる話も来る。結局、幕切れで引っ越しをするところを見ると、組合の専従職員になるのだろう。

ドラマ映画はその誕生以来リアリティーを求めて進展してきたわけだが、やはりヌーヴェル・ヴァーグとアメリカン・ニューシネマによって現実的なものを求める傾向が一気に強まったのではないかと思う。本作は戦後定義されたそれではなく近年(僕が)言うセミ・ドキュメンタリーで、実際に即興演出も用いられているようだが、どちらかと言えば嘘を本当らしく見せるのを映画らしい映画と思っている僕は、この手のお話や作り方には身も蓋もない印象を覚え、不満に思うことも多い。

本作で唯一ドラマ的なのは、立ち去る家の塀に母親に向けたメッセージを残す幕切れで、ここで少なからずじーんとさせられる。その後のことは、映画が直接的に関知しないことなのでどちらでもよろしいのだが、“母親な帰って来ないであろう”というご意見には異議ありで、僕は帰って来ると思う。あの残されたメッセージ自体が映画的にそれを訴えているような気がするのである。子供二人が可愛らしくて、不憫になること多し。

監督はギヨーム・セネズという人で、日本初紹介に当たるらしい。

去年辺りから非常に気になっているのだが、野球の実況アナが本来の現在完了形ではなく、現在形を使うことが多い。日本語の行動・変化を表す動詞は現在形(原形)は即ち未来形なので、どうも違和感が覚える。これがどこから入って来たか考えるに、原因はスポーツ・ニュースである。スポーツ・ニュースでは既に終わった試合について、ここ四半世紀以上ほぼ歴史的現在を使う。例えば、「〇〇投手はここで三振を取ります」などと言うのである。臨場感を出す効果を期したものだろう。中継ではさすがに使えなかったのが、ここ数年僕が真面目に野球中継を聴いていない間に、取り込んだのだと思う。

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