映画評「サイドマン:スターを輝かせた男たち」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年アメリカ=アイスランド合作映画 監督スコット・D・ローゼンバウム
ネタバレあり
大学を卒業する間際に「ローリング・ストーン誌レコード・ガイド」というかなり分厚い本を買ったおかげで、ブルース・ミュージシャンの名前だけはかなり憶えた。守備範囲である70年代後半までのロック(ブルース系含む)を大体買い揃えた後、2010年代に入り、ベッシー・スミス、サンハウス、サニー・ボーイ・ウィリアムソン、マディ・ウォーターズ、リトル・ウォルター、レッドベリー、ライトニン・ホプキンズのCD(全て直輸入)を買った。
ロバート・ジョンソンは図書館のCDを借りてコピー。今年に入りYouTubeを駆使してB・B・キングの名ライブ盤2枚をCD化した。珍しいところで知る人ぞ知るクリフトン・シェニエ(アコーディオン・ブルース若しくはサディコ)もCD化。
家にあるブルースのラインアップは大体こんなところ。僕の親父(嘘)プロフェッサー・ロングヘアも相当面白いので、CD化を企んでおります。ハウリン・ウルフも興味があったが、結局買わず、今となればYouTubeでのCD化ですな。
で、本作は、マディ・ウォーターズとハウリン・スミスのサイドで演奏していたパイントップ・パーキンズ(ピアノ、1913年生)、ヒューバート・サムリン(ギター、1931年生)、ウィリー・スミス(ドラムス、1936年生)がいかに素晴らしい演奏家であったか、僕が割合好きなボニー・レイット、ブルース絡みでは必ず出て来るグレッグ・オールマンなどのインタビューを交えて語る音楽ドキュメンタリー。
アーカイブでキース・リチャーズがまたまた出て来るし、コメントは出て来なかったと記憶するが、ハウリン・ウルフやサムリンと共演したエリック・クラプトンの声も聞こえる。
サムリンから多大なる影響を受けた人物としてジミ・ヘンドリックスが紹介されているが、影響を与えたサムリンより影響を受けたヘンドリックスが目立ってしまった感があるのは良し悪し。
それぞれの生い立ちも黒人故に興味深いものがあり、演奏を外の高窓から覗き見していた少年サムリンが落っこち、演奏中のウルフと知り合ったというエピソードがとりわけ面白い。
先日観た音楽ドキュメンタリー「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」に比べると編集がスムーズでなく、午前4時半に目が覚めて突然観始めるという条件の悪さもあってか、誰について話しているのか解らなくなるところがあった(個人の感想です)。映画的にやや不足があると思うものの、素晴らしい音楽人を見るのはそれだけで楽しい。
1960年代に入ってアメリカにおいてブルースが衰退していた頃、英国にビートルズやローリング・ストーンズが現れ、米国で人気が爆発、結果的にブルースや(形骸化していた)R&Bを復興させた。それがブリティッシュ・インヴェイジョンの本質でありましょう。
2016年アメリカ=アイスランド合作映画 監督スコット・D・ローゼンバウム
ネタバレあり
大学を卒業する間際に「ローリング・ストーン誌レコード・ガイド」というかなり分厚い本を買ったおかげで、ブルース・ミュージシャンの名前だけはかなり憶えた。守備範囲である70年代後半までのロック(ブルース系含む)を大体買い揃えた後、2010年代に入り、ベッシー・スミス、サンハウス、サニー・ボーイ・ウィリアムソン、マディ・ウォーターズ、リトル・ウォルター、レッドベリー、ライトニン・ホプキンズのCD(全て直輸入)を買った。
ロバート・ジョンソンは図書館のCDを借りてコピー。今年に入りYouTubeを駆使してB・B・キングの名ライブ盤2枚をCD化した。珍しいところで知る人ぞ知るクリフトン・シェニエ(アコーディオン・ブルース若しくはサディコ)もCD化。
家にあるブルースのラインアップは大体こんなところ。僕の親父(嘘)プロフェッサー・ロングヘアも相当面白いので、CD化を企んでおります。ハウリン・ウルフも興味があったが、結局買わず、今となればYouTubeでのCD化ですな。
で、本作は、マディ・ウォーターズとハウリン・スミスのサイドで演奏していたパイントップ・パーキンズ(ピアノ、1913年生)、ヒューバート・サムリン(ギター、1931年生)、ウィリー・スミス(ドラムス、1936年生)がいかに素晴らしい演奏家であったか、僕が割合好きなボニー・レイット、ブルース絡みでは必ず出て来るグレッグ・オールマンなどのインタビューを交えて語る音楽ドキュメンタリー。
アーカイブでキース・リチャーズがまたまた出て来るし、コメントは出て来なかったと記憶するが、ハウリン・ウルフやサムリンと共演したエリック・クラプトンの声も聞こえる。
サムリンから多大なる影響を受けた人物としてジミ・ヘンドリックスが紹介されているが、影響を与えたサムリンより影響を受けたヘンドリックスが目立ってしまった感があるのは良し悪し。
それぞれの生い立ちも黒人故に興味深いものがあり、演奏を外の高窓から覗き見していた少年サムリンが落っこち、演奏中のウルフと知り合ったというエピソードがとりわけ面白い。
先日観た音楽ドキュメンタリー「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」に比べると編集がスムーズでなく、午前4時半に目が覚めて突然観始めるという条件の悪さもあってか、誰について話しているのか解らなくなるところがあった(個人の感想です)。映画的にやや不足があると思うものの、素晴らしい音楽人を見るのはそれだけで楽しい。
1960年代に入ってアメリカにおいてブルースが衰退していた頃、英国にビートルズやローリング・ストーンズが現れ、米国で人気が爆発、結果的にブルースや(形骸化していた)R&Bを復興させた。それがブリティッシュ・インヴェイジョンの本質でありましょう。
この記事へのコメント
>「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」に比べると編集が スムーズでなく
>誰について話しているのか解らなくなるところがあった
確かに。 冒頭マディのマニッシュ・ボーイ(?)の有無を言わさぬ迫力に圧倒されてサイドマンの紹介を見ていたら突然ハウリン・ウルフが現れたりして先走りぎみでしたね。
マディ・ウォーターズとハウリン・ウルフ、チェスの2大大黒柱だけれど、「大黒柱は1本でいいんじゃ」という事で犬猿の仲だったようです。
両者ご存命ならこの場面展開は怖くてできなかったでしょう。 ご両人+ボ・ディドリーとでスーパセッションなるレコードもありましたけどジャケの3人の写真は当然合成丸出しでした。
しかし本を読んだだけでブルースマンの名前を憶えてしまうところが学究の徒であられます。
プロフェッサー・ロングヘア! お名前だけは存じておりますが、なぜかそこまで行きつけません。ジェイムズ・ブッカーやドクター・ジョンで停まっております。 メンフィスで迷子になりニューオリンズでもしかり・・・南部の音楽世界は奥が深いです。
>ブリティッシュ・インヴェイジョンの本質
ブルースに関してはアメリカは人種隔離政策のせいで灯台下 暗し状態だったんでしょう。
あ、でもレヴォン・ヘルム(ザバンドのドラマー。アーカソー州出身)の伝記によるとラジオでサニーボーイⅡやマディのブルースはよく聞いていたようです。
リヴァプール港は奴隷貿易船がアメリカに行く前に寄港するのでアメリカのブルースやなんかのレコードもたくさん入ってきていたようですね。
久しぶりにウルフのロンドンセッションなんぞ聞いてみます。
律儀に見てくださって嬉しいです。
奴隷船とブルースレコードは時代がちがいますね。
先生に赤ペンで添削されたりして (笑)
昼のニュースで群馬県の山間部が大雪と言っておりましたがそちらは雪に埋れておられませんでしょうね?
> マディ・ウォーターズとハウリン・ウルフ、チェスの2大大黒柱だけれど
>「大黒柱は1本でいいんじゃ」という事で犬猿の仲だったようです。
そういうことはあるでしょうねえ。
レーベルではないですが、ジョン・レノンとポール・マッカートニーもそういう関係だったのでしょう。
>ニューオリンズ
の音楽は割合相性が良いようです。ドクター・ジョンも名盤ということで手に入れた二枚も気に入りました。
>ブルースに関してはアメリカは人種隔離政策のせいで灯台下暗し状態だったんでしょう。
純ブルースに関しては、そういうこともあったように思いますね。
>奴隷船とブルースレコードは時代がちがいますね。
>先生に赤ペンで添削されたりして (笑)
200年くらい違います(笑)。しかし、世界音楽的に、奴隷船は大きな成果をもたらしましたのは事実ですよね。
>昼のニュースで群馬県の山間部が大雪と言っておりましたがそちらは雪に埋れておられませんでしょうね?
有難うございます。
大雪は、新潟県に近い水上(みなかみ)町などの北部です。
こちらは長野県に近い南部で、県境にある浅間山は相当降りますが、その麓に当たるここは大概大丈夫です。6年前に大雪で屋根が壊れ、ひどい目に遭いましたが。