映画評「ジョン・レノン 最後の週末」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2020年イギリス映画 監督ブライアン・グラント
ネタバレあり

ジョン・レノンの最後のインタビューを中心に語られると聞いたので、もっとそのインタビューが聞けるのかと思っていたら、作者側はそれでは余りにマニアックと思ったらしく、彼に絡んだことのある音楽プロデューサーのマルコム・ゲリーや「ジョンの魂」やシングル「インスタント・カーマ」等でベースを弾いたクラウス・フォアマン、取材した記者アンディ・ピーブルズの語りの間にジョンと小野洋子の声が入る感じなので、肩透かしをくらった。つまり、ジョン・レノンやその活動についてよく知っているマニアには物足りないのである。反面、全く知らない人が観ても解りにくいだろうと思われる箇所も多く、中途半端な感が否めない。

さほど詳しくないビートルズ若しくはジョンのファン辺りの為に、解散間際から暗殺までをかなり駆け足的に、考え方によっては要領良くまとめたと言えないこともないドキュメンタリーという感じでござろうか。
 その一々、例えばジョンと米国当局との関係を知りたいなら、「PEACE BED アメリカVSジョン・レノン」(2006年)がお薦め。相当面白いと思う。

いずれにしても狙いが少々不鮮明の感があるのだが、時代的にジョンが洋子と知り合う直前くらいから、夫婦共作の傑作「ダブル・ファンタジー」までという構成を考えてみれば、一部のファンの間にある“洋子がビートルズを解散に導いた” という疑念へ異論を突きつけることを、主題というより通奏低音として作ったように思われる。

おまけの話。
 最近YouTubeを使って、余り好んで聴くことがなくCDとしては持っていない「サム・タイム・イン・ニューヨーク・シティ」の2枚目(ライブ面)と「ライブ ピース・イン・トロント1969」を強引に一枚のCDにまとめた。合わせると90分弱あるので、10分くらいカットする為に、小野洋子の長い長いアヴァンギャルドな「ドント・ウォリー・キョウコ」(16分6秒)と「ジョン・ジョン」(12分42秒)を編集した。最近はジャズの長い演奏を聴くことが多く慣れたせいか、昔は退屈で仕方がなかったその二曲が案外楽しめたのに我ながらびっくりした。
 しかも、サウンド・エンジンという優れたアプリを使って何か所かをカットして繋げたのだが、これが我ながら神がかった出来栄えで、最初からこういう曲であると言われたら誰もが信じるだろう。

今年一年、ご愛顧有難うございました。オカピー最後の年末ではありません。来年も相変わらずよろしくお願い致します。

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