映画評「咲-Saki-」
☆☆★(5点/10点満点中)
2017年日本映画 監督・小沼雄一
ネタバレあり
既になくなったネットのクイズに出て来て憶えたコミック(作:小林立)の映画化。少女が麻雀をするというのが多少珍しいと思っていたので、麻雀は全く解らないものの観てみた。
麻雀が高校野球のように全国的なスポーツとなった架空の日本。インターハイの麻雀団体戦への出場をかけて、予選を勝ち抜いた高校4校の女子生徒たち20名が長野県大会の団体戦決勝に臨む。試合形式は柔道の団体戦と同じ。
完全な群像劇の構図で、中心となるのは、無名の清澄高校の1年生大将・宮永咲(浜辺美波)と、連覇をかける強豪校龍門淵高校の天才・天江衣(菊地麻衣)である。咲は確執のある姉と再会する為に全国大会を目指す。対する衣は両親を失い孤独のうちに麻雀の才能を開花させるが、自分を凌駕する相手にめぐり会えず、ゲームを終えればまた孤独に帰るニヒリストである。
咲が麻雀の才能以外は標準的な少女であるのに対し、衣は小学生のような外見に反して難解な熟語を駆使する異色の少女で、人物像としては後者が断然面白い。
21世紀に入って運動系以外のスポーツに青春をかける若者(殆ど高校生)を取り上げる青春映画が俄然増え、本作はその中でも「ちはやふる 上の句」に近いお話だが、本作はキャラクター造形を含む内容も映像処理もぐっと漫画的で、ターゲットはより狭い年齢層と感じられ、昭和半ば生まれとしては苦笑が洩れるところが多い。
そうした点に加え、登場人物が多くて混乱(字幕を出すことでかなり回避できる)、更に麻雀が全く解らないので前半はかなり退屈した。
しかし、作者にしても、この作品を見る観客の大半、とは言わないまでもかなり多くが麻雀音痴と踏んでいるはずで、咲や衣は勿論、他の少女たちの普遍的と言って良い青春像に集中して観ると、そこそこ楽しめる。
中でも、特別であるが為に孤独を深めていた天才・衣が負けることで友情を得、普通の少女になれた喜びを味わう終盤が感動的でさえある。
キャンディーズも“普通の女の子に戻りたい”と言って解散しましたね。彼女たちの歌を聞いた時、洋楽のほうをよく聴いていた僕は、コーラスにおいて、日本で人気のあったスリー・ディグリーズを目指しているにちがいないと思ったものです。
2017年日本映画 監督・小沼雄一
ネタバレあり
既になくなったネットのクイズに出て来て憶えたコミック(作:小林立)の映画化。少女が麻雀をするというのが多少珍しいと思っていたので、麻雀は全く解らないものの観てみた。
麻雀が高校野球のように全国的なスポーツとなった架空の日本。インターハイの麻雀団体戦への出場をかけて、予選を勝ち抜いた高校4校の女子生徒たち20名が長野県大会の団体戦決勝に臨む。試合形式は柔道の団体戦と同じ。
完全な群像劇の構図で、中心となるのは、無名の清澄高校の1年生大将・宮永咲(浜辺美波)と、連覇をかける強豪校龍門淵高校の天才・天江衣(菊地麻衣)である。咲は確執のある姉と再会する為に全国大会を目指す。対する衣は両親を失い孤独のうちに麻雀の才能を開花させるが、自分を凌駕する相手にめぐり会えず、ゲームを終えればまた孤独に帰るニヒリストである。
咲が麻雀の才能以外は標準的な少女であるのに対し、衣は小学生のような外見に反して難解な熟語を駆使する異色の少女で、人物像としては後者が断然面白い。
21世紀に入って運動系以外のスポーツに青春をかける若者(殆ど高校生)を取り上げる青春映画が俄然増え、本作はその中でも「ちはやふる 上の句」に近いお話だが、本作はキャラクター造形を含む内容も映像処理もぐっと漫画的で、ターゲットはより狭い年齢層と感じられ、昭和半ば生まれとしては苦笑が洩れるところが多い。
そうした点に加え、登場人物が多くて混乱(字幕を出すことでかなり回避できる)、更に麻雀が全く解らないので前半はかなり退屈した。
しかし、作者にしても、この作品を見る観客の大半、とは言わないまでもかなり多くが麻雀音痴と踏んでいるはずで、咲や衣は勿論、他の少女たちの普遍的と言って良い青春像に集中して観ると、そこそこ楽しめる。
中でも、特別であるが為に孤独を深めていた天才・衣が負けることで友情を得、普通の少女になれた喜びを味わう終盤が感動的でさえある。
キャンディーズも“普通の女の子に戻りたい”と言って解散しましたね。彼女たちの歌を聞いた時、洋楽のほうをよく聴いていた僕は、コーラスにおいて、日本で人気のあったスリー・ディグリーズを目指しているにちがいないと思ったものです。
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