映画評「英雄は嘘がお好き」
☆☆★(5点/10点満点中)
2018年フランス=ベルギー合作映画 監督ローラン・ティラール
ネタバレあり
シェークスピアの喜劇群を持ち出すまでもなく、嘘と誤解はシチュエーション・コメディーの必須要素であるが、フランス製の本作の場合、シチュエーションの可笑し味よりドタバタに近い持ち味。
1809年、ナポレオン戦争の時代である。
ブルゴーニュの貴族の娘ノエミ・メルランと大尉ジャン・デュシャルダンが結婚する。大尉はその直後に戦役に出ることになり、手紙を出すと約束し、出征する。が、手紙は一向に届かず失意のノエミは憔悴しきってしまう。
そこで才気煥発の姉メラニー・ロランが、彼の名前で手紙をでっちあげると妹は回復する。インドの戦役でピンチに陥り生存の可能性がないと書かれたところで妹はショックを受けて昏倒、そこへ優男クリストフ・モンテネが手を差し伸べる。
かくして二人が結ばれてから3年、大尉がみすぼらしい姿で町に現れたことから状況がややこしくなる。曲折を経てメラニーは示し合わせて、大尉に手紙と齟齬しないように話をさせるが、彼の人品が卑しいので将軍を家に呼んでぎゃふんと言わせようとする。彼が脱走する苛酷な戦場の様子が語られて将軍も感激、そこへコザック兵が押し寄せたの報を受ける。
メラニーは軍人らしい勇ましさを発揮した大尉と結婚するが、そこへ再び大尉への出征要請が届く。
およそこんなお話で、終盤は少々しんみりとさせ、そのままフェードアウトと思いきや、大尉の行動がまた笑わせる。この辺りはフランス人は映画の作り方を知っていると思わせ、なかなかゴキゲン。
体裁は喧嘩をあれやこれやした後のカップル成立であるから、典型的なロマンティック・コメディー、あるいはかつてのアメリカ製スクリューボール・コメディーの体裁で、【噓から出た実】の形式を利用しているのは良いが、どなかも仰るように少々ひねりが足りない憾みがある。一時的なシリアス調シークエンスに変わるまで暫く手詰まりで可笑し味が停滞する。
見どころは男女二人の丁々発止の応酬なので、演技合戦を楽しむのが第一であろうし、中堅のメラニー・ロランとジャン・デュシャルダンがその要求にしっかり応えていると思う。かつてのスクリューボール・コメディーの迫力を求めるのはちと難しいが。
お熱いのもお好き
2018年フランス=ベルギー合作映画 監督ローラン・ティラール
ネタバレあり
シェークスピアの喜劇群を持ち出すまでもなく、嘘と誤解はシチュエーション・コメディーの必須要素であるが、フランス製の本作の場合、シチュエーションの可笑し味よりドタバタに近い持ち味。
1809年、ナポレオン戦争の時代である。
ブルゴーニュの貴族の娘ノエミ・メルランと大尉ジャン・デュシャルダンが結婚する。大尉はその直後に戦役に出ることになり、手紙を出すと約束し、出征する。が、手紙は一向に届かず失意のノエミは憔悴しきってしまう。
そこで才気煥発の姉メラニー・ロランが、彼の名前で手紙をでっちあげると妹は回復する。インドの戦役でピンチに陥り生存の可能性がないと書かれたところで妹はショックを受けて昏倒、そこへ優男クリストフ・モンテネが手を差し伸べる。
かくして二人が結ばれてから3年、大尉がみすぼらしい姿で町に現れたことから状況がややこしくなる。曲折を経てメラニーは示し合わせて、大尉に手紙と齟齬しないように話をさせるが、彼の人品が卑しいので将軍を家に呼んでぎゃふんと言わせようとする。彼が脱走する苛酷な戦場の様子が語られて将軍も感激、そこへコザック兵が押し寄せたの報を受ける。
メラニーは軍人らしい勇ましさを発揮した大尉と結婚するが、そこへ再び大尉への出征要請が届く。
およそこんなお話で、終盤は少々しんみりとさせ、そのままフェードアウトと思いきや、大尉の行動がまた笑わせる。この辺りはフランス人は映画の作り方を知っていると思わせ、なかなかゴキゲン。
体裁は喧嘩をあれやこれやした後のカップル成立であるから、典型的なロマンティック・コメディー、あるいはかつてのアメリカ製スクリューボール・コメディーの体裁で、【噓から出た実】の形式を利用しているのは良いが、どなかも仰るように少々ひねりが足りない憾みがある。一時的なシリアス調シークエンスに変わるまで暫く手詰まりで可笑し味が停滞する。
見どころは男女二人の丁々発止の応酬なので、演技合戦を楽しむのが第一であろうし、中堅のメラニー・ロランとジャン・デュシャルダンがその要求にしっかり応えていると思う。かつてのスクリューボール・コメディーの迫力を求めるのはちと難しいが。
お熱いのもお好き
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