映画評「凸凹猛獣狩」
☆☆(4点/10点満点中)
1949年アメリカ映画 監督チャールズ・バートン
ネタバレあり
バッド・アボットとルー・コステロの凸凹コンビの作品は3本くらい観たことがある。全て凸凹で始まる邦題なので失念して観たものの、実は再鑑賞。物凄く可笑しい若しくは面白いものであれば再鑑賞も厭わないが、この程度では避けたいところで、事前にIMDbに行くべきだったなあ。
前回IMDbで進呈したのは☆一つ分。恐らく生意気盛りに観た前回と違い、年を取って映画観も丸くなってきた為、今回はもう少し余分に上げても良いとは思った。
デパートで書店に関わっているコステロが、狩猟実録本の作者と一緒にハンティングに出たと大法螺を吹いて、それに関する地図が欲しいと次々と懇願して来る連中に“朝飯前だ”とこれまた大法螺を吹く。
次々と現れたのはボスと子分たちという実は同じグループで、猩々(ここではゴリラのことらしい)狩りと称してコンゴのジャングルにあるらしいダイヤモンド産地を探しているのだ。ボスは30代の悪女っぽい美人ヒラリー・ブルックだが、映画的に存外活躍しない。
アボットは理知的な立場、チビでおデブのコステロは徹底した阿呆型として、役割が完全に分かれることが多い。つまり、お笑いはほぼ専らコステロに任せられている形である。
この作品では、コステロは実は会ったこともないご本人の前で当人を馬鹿にするギャグを二回繰り返す。これ自体この時代には既に新しいギャグではなく、しかも気が付くまでが遅い。コステロの阿呆性を見せる為か、時間がかかりすぎてもたれる。この応用編が、アボットが被っていると思ったライオンが本物なのになかなか気づかないという笑い。
そもそも発端が常識以下なのが困る。例えば、悪党グループがコステロが書くという地図を見ることもせずに現地に入るなんてのは、いかにナンセンス・コメディーでも、あり得ない。こういのが常識以下で、御挨拶に困るというやつの典型である。尤も、だから凸凹コンビが一行に付いていくことが出来るわけだが。
ジャングルで現地の人食い人種に襲われ、敵味方入り乱れる辺りはなかなか楽しい。
一番良いのは幕切れの、どんでん返しの扱い。ダイヤを手に入れることに失敗したアボットが冷たくもコステロを置いてけぼりにする。コステロは絶望的に嘆くが、実は彼を気に入っていたゴリラがアボットの隠したダイヤを持っていた為に大逆転。大きなビルを持つ社長になったコステロに使用人のアボットが挨拶をするのである。
その過程を一切省いてお話がジャンプすることがお笑いに通じるわけで、これに似ているのは「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」(1984年)でマイケル・ダグラスがワニと格闘を始めるや画面を切って、次にいきなりワニ革のブーツをはいて彼が現れる幕切れである。
ワニと言えば、本作に出て来るワニ(但し水面にいるのは偽物だろう)、ライオン、チンパンジーが本物なのも褒めて良いところ。この時代の作品にはドキュメンタリーや旧作の使い回しも多いのだ。
ジェリー・ルイスとディーン・マーティンの“底抜け”コンビは、この凸凹コンビの発展形だったような気がする。子供の頃随分観ました。
1949年アメリカ映画 監督チャールズ・バートン
ネタバレあり
バッド・アボットとルー・コステロの凸凹コンビの作品は3本くらい観たことがある。全て凸凹で始まる邦題なので失念して観たものの、実は再鑑賞。物凄く可笑しい若しくは面白いものであれば再鑑賞も厭わないが、この程度では避けたいところで、事前にIMDbに行くべきだったなあ。
前回IMDbで進呈したのは☆一つ分。恐らく生意気盛りに観た前回と違い、年を取って映画観も丸くなってきた為、今回はもう少し余分に上げても良いとは思った。
デパートで書店に関わっているコステロが、狩猟実録本の作者と一緒にハンティングに出たと大法螺を吹いて、それに関する地図が欲しいと次々と懇願して来る連中に“朝飯前だ”とこれまた大法螺を吹く。
次々と現れたのはボスと子分たちという実は同じグループで、猩々(ここではゴリラのことらしい)狩りと称してコンゴのジャングルにあるらしいダイヤモンド産地を探しているのだ。ボスは30代の悪女っぽい美人ヒラリー・ブルックだが、映画的に存外活躍しない。
アボットは理知的な立場、チビでおデブのコステロは徹底した阿呆型として、役割が完全に分かれることが多い。つまり、お笑いはほぼ専らコステロに任せられている形である。
この作品では、コステロは実は会ったこともないご本人の前で当人を馬鹿にするギャグを二回繰り返す。これ自体この時代には既に新しいギャグではなく、しかも気が付くまでが遅い。コステロの阿呆性を見せる為か、時間がかかりすぎてもたれる。この応用編が、アボットが被っていると思ったライオンが本物なのになかなか気づかないという笑い。
そもそも発端が常識以下なのが困る。例えば、悪党グループがコステロが書くという地図を見ることもせずに現地に入るなんてのは、いかにナンセンス・コメディーでも、あり得ない。こういのが常識以下で、御挨拶に困るというやつの典型である。尤も、だから凸凹コンビが一行に付いていくことが出来るわけだが。
ジャングルで現地の人食い人種に襲われ、敵味方入り乱れる辺りはなかなか楽しい。
一番良いのは幕切れの、どんでん返しの扱い。ダイヤを手に入れることに失敗したアボットが冷たくもコステロを置いてけぼりにする。コステロは絶望的に嘆くが、実は彼を気に入っていたゴリラがアボットの隠したダイヤを持っていた為に大逆転。大きなビルを持つ社長になったコステロに使用人のアボットが挨拶をするのである。
その過程を一切省いてお話がジャンプすることがお笑いに通じるわけで、これに似ているのは「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」(1984年)でマイケル・ダグラスがワニと格闘を始めるや画面を切って、次にいきなりワニ革のブーツをはいて彼が現れる幕切れである。
ワニと言えば、本作に出て来るワニ(但し水面にいるのは偽物だろう)、ライオン、チンパンジーが本物なのも褒めて良いところ。この時代の作品にはドキュメンタリーや旧作の使い回しも多いのだ。
ジェリー・ルイスとディーン・マーティンの“底抜け”コンビは、この凸凹コンビの発展形だったような気がする。子供の頃随分観ました。
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