映画評「ザ・ビースト」(2019年)
☆☆(4点/10点満点中)
2019年アメリカ映画 監督ニック・パウエル
ネタバレあり
昔のB級(低予算)映画はお話も画面もダメという作品がある一方、お話はダメでも画面は良いという作品も結構あった。しかし、現在のB級映画に良い画面を求めるのはなかなか難しいようである。
尤も、現在特にアメリカ映画界ではコスト高が目立ち、B級映画と言えるのはビデオ用映画くらいになってしまった。そのビデオ用映画でも2000万ドルくらいの作品もあり、そうなるとB級とも言えない。
ニコラス・ケイジはすっかりB級映画に定着したが、全盛期の彼が仮に本作で主演したらそれだけでコストが上がるのでもはやB級と言えないということになった。前置きはともかく、本作はそのケイジ氏が刑事ではなく(いつもの駄洒落)動物ハンターに扮したサスペンスである。
彼が南米で珍しくも手に入れたホワイト・ジャガーを始め、毒蛇など危険な生物を含む動物をアメリカへ密輸する為に乗り込んだ貨物船に、NSAが捕えた暗殺者ケヴィン・デュランドを移送する護送団も乗り込む。
ここで大概の人が、二つのビースト(野獣)が暴れる展開、即ち凶悪犯が逃げ出し、そこに猛獣が絡むというお話を予想するだろう。
正にその通り進行するのだが、護送チームは甚だ弱くてすぐに退けられてしまい、結局猛獣への対応は心得るものの凶悪犯の対応には素人であるケイジが奮闘することになる。
これ自体も予想通りで、誠につまらぬ。それでも猛獣たちがもっと絡んで二重三重の極限状況サスペンスが構築されるならケイジの配置が生きるものを、猛獣たちが予想ほどには絡んで来ず、益々つまらぬ。
医療官として紅一点ファムケ・ヤンセンが絡んでくるのは、前世紀末くらいからアメリカで要請され始めた“映画にはアフリカン・アメリカン、アジア系及び女性を必ず出すこと”という紳士協定(現在は半強制になりつつある)を守った作劇にも見えるが、寧ろ大昔のジャンル映画に多かった彩りの狙いのほうが強いかもしれない。
暗殺者はNSAが雇った男なので、アフガン侵攻でアメリカに雇われ、後に反米に転じたビン・ラディンみたいな感じ。
2019年アメリカ映画 監督ニック・パウエル
ネタバレあり
昔のB級(低予算)映画はお話も画面もダメという作品がある一方、お話はダメでも画面は良いという作品も結構あった。しかし、現在のB級映画に良い画面を求めるのはなかなか難しいようである。
尤も、現在特にアメリカ映画界ではコスト高が目立ち、B級映画と言えるのはビデオ用映画くらいになってしまった。そのビデオ用映画でも2000万ドルくらいの作品もあり、そうなるとB級とも言えない。
ニコラス・ケイジはすっかりB級映画に定着したが、全盛期の彼が仮に本作で主演したらそれだけでコストが上がるのでもはやB級と言えないということになった。前置きはともかく、本作はそのケイジ氏が刑事ではなく(いつもの駄洒落)動物ハンターに扮したサスペンスである。
彼が南米で珍しくも手に入れたホワイト・ジャガーを始め、毒蛇など危険な生物を含む動物をアメリカへ密輸する為に乗り込んだ貨物船に、NSAが捕えた暗殺者ケヴィン・デュランドを移送する護送団も乗り込む。
ここで大概の人が、二つのビースト(野獣)が暴れる展開、即ち凶悪犯が逃げ出し、そこに猛獣が絡むというお話を予想するだろう。
正にその通り進行するのだが、護送チームは甚だ弱くてすぐに退けられてしまい、結局猛獣への対応は心得るものの凶悪犯の対応には素人であるケイジが奮闘することになる。
これ自体も予想通りで、誠につまらぬ。それでも猛獣たちがもっと絡んで二重三重の極限状況サスペンスが構築されるならケイジの配置が生きるものを、猛獣たちが予想ほどには絡んで来ず、益々つまらぬ。
医療官として紅一点ファムケ・ヤンセンが絡んでくるのは、前世紀末くらいからアメリカで要請され始めた“映画にはアフリカン・アメリカン、アジア系及び女性を必ず出すこと”という紳士協定(現在は半強制になりつつある)を守った作劇にも見えるが、寧ろ大昔のジャンル映画に多かった彩りの狙いのほうが強いかもしれない。
暗殺者はNSAが雇った男なので、アフガン侵攻でアメリカに雇われ、後に反米に転じたビン・ラディンみたいな感じ。
この記事へのコメント
>スターは見る側には魅力ではありますが
全くその通りで、最近のニコラス・ケイジ主演の映画は、彼の名前を信じて見ます。つまらなくてもまあ俳優を見ていれば良いという感じ(笑)。
逆に言いますと、彼の名前がなければ観ないであろう作品が大半なんです。
>個人的にはB級動物パニックもの(ホラーやSFも)はジャンルとして好きだったりもするので
最近でこそ、年齢も感じて大分選んで観ていますが、若い頃なら、出演者の有名無名を問わず、そういう馬鹿らしいくらいの映画もよく観ましたよ。