映画評「子供たちは見ている」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1942年イタリア映画 監督ヴィットリオ・デ・シーカ
ネタバレあり

ヴィットリオ・デ・シーカの監督デビュー作である。観ていると思っていたが、ストーリーに記憶がないので、あるいは初めて? 

主婦ニーナ(イザ・ポーラ)が、7歳くらいの息子プリコ(ルチアーノ・デ・アンブロジオ)を置いて、愛人ロベルト(アンドリアーノ・リモルディ)と駆け落ちする。
 夫アンドレア(エミリオ・チゴーリ)は妹や母に預かってもらおうとするがうまく行かず、家政婦の監視の下何とか育てようとする。プリコが病気になると、どこで聞いたかニーナが戻ってき、一家で海水浴に出かける。
 これで円満になるかと思いきや、夫君が仕事で先に帰った後、ニーナは同地を訪れたロベルトと焼け木杭に火がついてしまう。母親とは別に帰って来た息子を見てアンドレアは事情を察知、少年を教会に預け、自殺してしまう。
 それを聞いて教会に駆けつけた母親を、しかし、プリコは相手にしない。

凡そこんなお話で、子供のことを考えず、自己中心的な考えで行動する母親を主に非難する内容であるが、タイトルが“子供たち”(原題同じ)となっているように、非難される大人も当然複数であり、即ち普遍的に大人の我儘を取り上げた、子供VS大人の、現代風に言えば一種の児童虐待をテーマにした社会派ドラマと言うことができる。

息子が父親に詰問された時に母親を庇うところから、父親を死に追い込んだ母親を憎むように変化する終盤はなかなか厳しい内容になっていて感動させるが、そこまでは児童もの、一種の母もの、メロドラマとの間をふらふらするような内容で、余り感心できない。6年後の「自転車泥棒」の完成度には遠いと思われる。

子供は親の背中を見て育つ、と言う。この題名はそういう意味ではないが、子供を持つ親はうかつなことはできない。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック