映画評「ノッティングヒルの洋菓子店」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2020年イギリス映画 監督イライザ・シュローダー
ネタバレあり
洋画の邦題に洋菓子店という単語はどうかと思うが、それはともかく、総じてありきたりの内容ながら、英国庶民映画の中ではなかなか上品な感じがするところが良い。
アラフォーの女性イザベラ(シェリー・コン)がパティシエの親友サラ(キャンディス・ブラウン)とベーカリー開店にこぎつけた矢先、サラが事故で死んでしまう。
ダンサー修行に行き詰まったサラの娘クラリッサ(シャノン・タルベット)はそれを知り、開店資金を巡って母と不仲になった祖母ミミ(セリア・イムリ―)を彼女の仕事だったブランコ乗りに誘うなどして懐柔、お金を捻出して貰い、自分も関係者として加わることで、すっかり諦めて別の仕事を就いていたイザベラをも説得する。
しかし、料理学校は出たものの腕に自信のないイザベラがシェフ探しに困っていたところへ、サラや彼女と因縁のある一流シェフのマシュー(ルパート・ペンリー=ジョーンズ)が訪れる。その目的に一つはクラリッサが自分の娘かどうか確認することである。
かくして開店したものの、近所にベーカリーが多数あって客足が伸びない。そんな折外国人の配達人が訪れたことがヒントになり、人種の坩堝と化しているこの地域を考慮して、世界のあらゆる菓子を作ることを売りにすると店は繁盛し始める。
というお話で、日本女性の注文を聞いたところ彼女が有名雑誌の関係者だったことから取材まで受け、益々大繁盛などという展開まである。
ロンドンにおける人種の坩堝という現実を反映したところがちょっとした捻りであろうが、ミミとサラの不仲(サラはもはや故人だが)や女性たちの冴えない現実を、サラの念願であった開店そしてその成功が解決していくというところに一通り見どころがある。 “一通り” と制限を付けなければならないのは、些か調子良く進みすぎるきらいがあるから。
とは言え、力みのない見せ方が映画的に上品で好感を抱かせもする。こういう軽みは案外見落とされがちだが、もっと評価に加味しても良いのではないか。
お菓子好きの方は見て損はないでしょう。
近年食費を抑え気味。うまそうな食べ物が出て来る映画やTV番組は目の毒である。TV番組と言えば、初期からずっと見ている「ザ!鉄腕!ダッシュ!!」は震災以降食べ物に絡む企画や場面が多い。ものを大事にするというコンセプトは良いが、それでも僕には目の毒。
2020年イギリス映画 監督イライザ・シュローダー
ネタバレあり
洋画の邦題に洋菓子店という単語はどうかと思うが、それはともかく、総じてありきたりの内容ながら、英国庶民映画の中ではなかなか上品な感じがするところが良い。
アラフォーの女性イザベラ(シェリー・コン)がパティシエの親友サラ(キャンディス・ブラウン)とベーカリー開店にこぎつけた矢先、サラが事故で死んでしまう。
ダンサー修行に行き詰まったサラの娘クラリッサ(シャノン・タルベット)はそれを知り、開店資金を巡って母と不仲になった祖母ミミ(セリア・イムリ―)を彼女の仕事だったブランコ乗りに誘うなどして懐柔、お金を捻出して貰い、自分も関係者として加わることで、すっかり諦めて別の仕事を就いていたイザベラをも説得する。
しかし、料理学校は出たものの腕に自信のないイザベラがシェフ探しに困っていたところへ、サラや彼女と因縁のある一流シェフのマシュー(ルパート・ペンリー=ジョーンズ)が訪れる。その目的に一つはクラリッサが自分の娘かどうか確認することである。
かくして開店したものの、近所にベーカリーが多数あって客足が伸びない。そんな折外国人の配達人が訪れたことがヒントになり、人種の坩堝と化しているこの地域を考慮して、世界のあらゆる菓子を作ることを売りにすると店は繁盛し始める。
というお話で、日本女性の注文を聞いたところ彼女が有名雑誌の関係者だったことから取材まで受け、益々大繁盛などという展開まである。
ロンドンにおける人種の坩堝という現実を反映したところがちょっとした捻りであろうが、ミミとサラの不仲(サラはもはや故人だが)や女性たちの冴えない現実を、サラの念願であった開店そしてその成功が解決していくというところに一通り見どころがある。 “一通り” と制限を付けなければならないのは、些か調子良く進みすぎるきらいがあるから。
とは言え、力みのない見せ方が映画的に上品で好感を抱かせもする。こういう軽みは案外見落とされがちだが、もっと評価に加味しても良いのではないか。
お菓子好きの方は見て損はないでしょう。
近年食費を抑え気味。うまそうな食べ物が出て来る映画やTV番組は目の毒である。TV番組と言えば、初期からずっと見ている「ザ!鉄腕!ダッシュ!!」は震災以降食べ物に絡む企画や場面が多い。ものを大事にするというコンセプトは良いが、それでも僕には目の毒。
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