映画評「サラトガ本線」

☆☆★(5点/10点満点中)
1944年アメリカ映画 監督サム・ウッド
ネタバレあり

カサブランカ」(1942年)以降のイングリッド・バーグマン主演映画は大体観ているが、本作は大作にも拘わらず、未鑑賞だった。
 現在の評価を考えると是非とも観たいという作品ではないものの、イングリッドの主演であれば観ておかないわけには行かない。ましてゲイリー・クーパーが共演とあれば。原作は映画界に人気のあるエドナ・ファーバー。

舞台は19世紀末の米国南部。イングリッドが乳母フローラ・ロブスンや小人ジェリー・オースティンと共にフランスから、母をひどい目に遭わせた一族への復讐を主眼に、その故郷ニューオーリンズに戻って来る。
 彼女は伯爵夫人(未亡人)と称して市場に出る。その彼女に興味を持ったのがテキサスからやって来た軍人クーパーで、ちょっとしたロマンスを演じた後、出世を目指す彼女の為にサラトガ本線を所有する男性ジョン・ウォーバートンを紹介する。その真の目的は、父親を殺した、サラトガ本線を奪おうとする一味と対決する為で、恋の争いをするこの二人は密かに手を組んでいたのである。

ファーバーらしくなかなかスケール感のあるお話だが、この時代の作品らしく、イングリッドとクーパーの恋の行方が眼目であることが見え見えで、“観客をじらそうとしている”と些か大袈裟に言いたくなるまでに恋の駆け引き要素を繰り出し過ぎる気がする。ロマンスを軸にした作品で135分は些か長すぎて途中で飽きるのである。

終盤に列車衝突と両派格闘のアクションが出て来るが、ごく僅か。それでも列車衝突はかなりのスペクタクルと言うべし。

些か変わった形の復讐に燃えるヒロインの統合失調症的な性格造形がなかなか面白い。そんなヒロインを演じるイングリッドの熱演も見応えあるが、現在の標準と比較するとオーヴァーアクト気味かもしれない。クーパーは得意な役どころだろう。

フローラ・ロブスンは白人女性。白人に黒人を演じさせるのは今なら少し問題となるでしょう。

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