映画評「花束みたいな恋をした」

☆☆★(5点/10点満点中)
2021年日本映画 監督・土井裕泰
ネタバレあり

人気若手俳優が出るロマンス系は甘すぎるものが多いので避けることが多いが、外部の勢いにつられて、観てしまった。題名は意味不明。

就職活動期にある大学生男女、菅田将暉と有村架純が終電車に乗り遅れ、深夜営業のファミレス何かで駄弁るうち、サブカルチャーに関する指向が完全に一致して意気投合、デートを重ねて本格的に交際を開始、彼女が親元を離れて同棲を開始する。
 彼女が病院の受付事務の仕事を得た後、イラストの仕事に未来を見出せなくなった彼も営業畑の仕事に就くが、これにより好きなものを仕事に生かしたいと思う彼女との間で価値観が次第に乖離して後戻りができなくなり、5年目にファミリー・レストランで当初の自分達のような若いカップルを見て切ない気分を味わいつつ、別れていく。

というお話で、好きなことを仕事とするのを諦めた都合上現在の仕事に義務感を見出さないとやっていけないのであろう菅田君(扮する主人公)の気持ちはよく解るし、後半徐々に増していく切なさに幾分かの現実感を伴うものがある一方、前半における二人の趣味や思想の極端すぎる一致など作り過ぎている部分があって白け気分が先に立つ。

カップルがステレオ・イヤホンの左右を分けて聴いているのを見て、2020年現在の二人が互いの恋人に蘊蓄を傾ける冒頭のシーンは(この二人が互いに言い合っているのかとごく短い間思わせる)見せ方も含めて気に入った。イヤホンに関しては僕も全く同じ事を思っていたので、膝を叩かせるものがあったのだ。
 その他、揃いの運動靴だったのが夫々のビジネス靴に変わったことで二人の心の乖離を象徴させるのは、些かクラシックではあるものの、映画的で良い。

趣味(hobby, taste)が一致しても必ずしも親しみ合えない、ということを僕は経験で知っている。映画好き、ビートルズ好き、野球はジャイアンツ・ファン、 それに加えて、このカップルと同じくらい奇遇にも“百科事典を眺める(読む)のが好き”という珍しい趣味まで同じだった彼女とは、不思議にも、長い付き合いが出来なかった。趣味が違い過ぎるのも問題なのだが。

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