映画評「西部戦線一九一八年」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1930年ドイツ映画 監督ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
ネタバレあり

先日「炭坑」(1931年)で久しぶりに再会したドイツの名匠ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト(G・W・パプスト)の代表作。50年間観たかった作品だが、実は生涯見られないだろうと諦めていた。従って、僕が観て来たプライム・ビデオにおける古い作品群の中でも一番貴重と言って良い。

アメリカ反戦映画の傑作「西部戦線異状なし」と同じ1930年に作られ、同じように塹壕が印象的な作品である。ほぼ同じ時代に第一次大戦の西部戦線(主にフランス東部やベルギー)前線を舞台に類似性の高い作品が発表されたのは、大変興味深い。

カール(グスタフ・ディーズル)、“学生”(ハンス-ヨアキム・メービス)、“バヴァリア人”(フリッツ・カンパース)、“少尉”(クラウス・クランセン)の四人の仲間たちの悲劇的な末期を描く。
 断片的な挿話が多く、休暇で家に戻ったカールが妻の浮気を知って虚無的になって前線に戻るというのがほぼ唯一ドラマらしいお話で、フランス娘とはかない恋に落ちる “学生” のお話もエピソードとして印象的だ。

残りは前線の壮絶な日常を描出し、終盤になって漸くなかなか激しい戦闘シーンが見られるが、その直後にそれ以上壮絶と言っても良い野戦病院の描写が続く。

僕が愛する「西部戦線異状なし」は、エリッヒ・マリア・レマルクの原作に従って、エピソードを連ねていく内容で、アメリカ映画には珍しくリアリズム基調だが、本作はそれ以上に即実的で断裁的な見せ方である為、「西部戦線異状なし」のような直球的な感動を喚起するところは殆どないものの、その観照的な態度はそれはそれで凄味がある。この二作は、戦前反戦映画の双璧と言うべし。

「西部戦線異状なし」にも言えるが、トーキー初期というのにこの完成度!

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