映画評「83歳のやさしいスパイ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2020年チリ=アメリカ=ドイツ=オランダ=スペイン合作映画 監督マイテ・アルベルディ
ネタバレあり
何と二日続けて“やらせ”に立脚したドキュメンタリーである。但し、こちらの“やらせ”には映画関係者は関わっていない(という建前)。
ある探偵社が、高齢者施設に入所している老母を心配する娘の依頼で、その施設の内部事情を調べることができる高齢者を募集し、83歳のセルジオ老が選ばれる。最初のスマホの使い方に不如意なところが笑わせるが、いざ入所した後のスパイ模様はなかなか様になっている。
なかなかハンサムで心優しい彼は大半を占める女性に大もて、ある女性は結婚する気にまで恋心が発展する。彼自身は詩心のある女性の方が好みだったかもしれない。
その詩心のある女性が亡くなり、依頼者の老母の物品を盗んでいるのは自分を少女と思い込んでいそうな認知症の老女であり、施設側に虐待などの問題がないことを確認するとセルジオ老は施設を退所し、娘の待つ家に戻って行く。
昨日の作品ではSNSがインチキだったわけだが、本作は入所がスパイ目的のインチキで、通底するものはあるかもしれない。カメラ機能のある眼鏡も与えられたようで、かつてのスパイ映画を思い出させ、工まざるユーモアの数々がドラマ映画のような印象を醸成する。
映画関係者が探偵社の企みをどう知ったのか不明なのか気になるし、老人が指摘するように娘はいなかったのかもしれない。そうなると益々昨日の映画に似て来る。色々と考えるに、作者側が探偵事務所にアプローチをしたのではないか。
このように集まっていても、これらの老人の多くは集団の中の孤独を味わっていると感じられ、テーマもここに集約していく印象。老人の孤独という問題は残るが、後味は悪くない。
ビートルズの「エリナー・リグビー」を想起する。昔、湯川れい子がこの曲を竹村健一に例示して、ビートルズがただガチャガチャやっているだけのロック・バンドではないと懸命に説得していたのを思い出す。
2020年チリ=アメリカ=ドイツ=オランダ=スペイン合作映画 監督マイテ・アルベルディ
ネタバレあり
何と二日続けて“やらせ”に立脚したドキュメンタリーである。但し、こちらの“やらせ”には映画関係者は関わっていない(という建前)。
ある探偵社が、高齢者施設に入所している老母を心配する娘の依頼で、その施設の内部事情を調べることができる高齢者を募集し、83歳のセルジオ老が選ばれる。最初のスマホの使い方に不如意なところが笑わせるが、いざ入所した後のスパイ模様はなかなか様になっている。
なかなかハンサムで心優しい彼は大半を占める女性に大もて、ある女性は結婚する気にまで恋心が発展する。彼自身は詩心のある女性の方が好みだったかもしれない。
その詩心のある女性が亡くなり、依頼者の老母の物品を盗んでいるのは自分を少女と思い込んでいそうな認知症の老女であり、施設側に虐待などの問題がないことを確認するとセルジオ老は施設を退所し、娘の待つ家に戻って行く。
昨日の作品ではSNSがインチキだったわけだが、本作は入所がスパイ目的のインチキで、通底するものはあるかもしれない。カメラ機能のある眼鏡も与えられたようで、かつてのスパイ映画を思い出させ、工まざるユーモアの数々がドラマ映画のような印象を醸成する。
映画関係者が探偵社の企みをどう知ったのか不明なのか気になるし、老人が指摘するように娘はいなかったのかもしれない。そうなると益々昨日の映画に似て来る。色々と考えるに、作者側が探偵事務所にアプローチをしたのではないか。
このように集まっていても、これらの老人の多くは集団の中の孤独を味わっていると感じられ、テーマもここに集約していく印象。老人の孤独という問題は残るが、後味は悪くない。
ビートルズの「エリナー・リグビー」を想起する。昔、湯川れい子がこの曲を竹村健一に例示して、ビートルズがただガチャガチャやっているだけのロック・バンドではないと懸命に説得していたのを思い出す。
この記事へのコメント
こちらはたまたま先日見たばかりです。
日本で言うところの「特養」が舞台ですね。万国共通の老人ホームあるあるがあると思えば、ラテン系ならではのエピソードもありましたね。
日本と同じなのは、
先ずは男性の比率が低くておおむねコミュニケーション能力が女性に比べて低い(笑)
ただ女性は口コミパワーが災いして、「物盗られ妄想」を耳にしやすく信じてしまう。(相手も自分もボケているという認識がないので)
ストーリー展開より細部に目がいってしまいました。
エリナーリグビーから昔観たスペイン映画の「ローサのぬくもり」を思い出しました。あれは良かった…
>ラテン系ならではのエピソード
ちょっとした三角関係?
>男性の比率が低くておおむねコミュニケーション能力が女性に比べて低い(笑)
男は黙ってサッポロビール。ちと違うか(笑)
>「物盗られ妄想」を耳にしやすく信じてしまう。
金品を騒ぎ出すのは認知症の特徴でもあると言われますが、断定口調になるのもそうかと思います。
昨年末に檀家代表として、ご年始の集金をして、子供時代の同級生の母親と50年ぶりくらいに会いましたが、僕の母親など知らないと断言されて大苦笑。
>スペイン映画の「ローサのぬくもり」を思い出しました。あれは良かった…
題名は憶えていますし、間違いなく観ていますが、内容は忘れてしまいました。すんません(笑)