映画評「スティーラーズ」(2021年)
☆☆(4点/10点満点中)
2021年イギリス映画 監督マーティン・オーウェン
ネタバレあり
翻案や部分映画化を含めれば40回以上映像化されたチャールズ・ディケンズの「オリヴァー・ツイスト」を、現代英国に舞台を移して映像化した犯罪映画。残念ながら、お話も見せ方も定石通りで面白味を見出せない。
そりゃあ「オリヴァー・ツイスト」を原案にしていればそういう結果になるだろうと言われるかもしれないが、そうではなく、近年作られた集団泥棒映画の定石を繰り返しているだけなのがつまらない理由であって、逆にディケンズ通りに作ればもう少し面白くなったと思われるくらい。そもそも「オリヴァー・ツイスト」から拝借する必要があったのだろうか?
日本の劇場でも観られたが、映画祭の類なので僕の扱いでは日本劇場未公開作品に相当する。
幼年時代に女流画家の母親(共同で脚本を書いているサリー・コレット)に早世された若者オリヴァー(ラフ・ロウ)が宿代わりにしている美術館から逃げる時に知り合ったのが、レッドことナンシー(ソフィー・シムネット)、ドッジ(リタ・オラ)、ベイツィー(フランツ・ドラメ)。この三人が所属している美術泥棒グループを率いるのがフェイギン(マイケル・ケイン)で、相棒は中間管理職たる相棒はサイクス(レナ・ヘディ)。
これらのメンバーが有名美術商ロズバーン(デーヴィッド・ウォリアムズ)の所有する絵画を奪取する為に色々な細工を繰り出すわけで、一々指摘も出来ないが基本的には他の泥棒映画で既に使われたようなアイデア群と思って良いのではないか。
ところが、本作も先日ケインがやはり泥棒リーダーを演じた「キング・オブ・シーヴズ」に似て、何をやっているか解らないところが多い。但し、かの作品がゆっくり見せているにも拘らず良く解らなかったのに対し、こちらは理解する前にどんどん展開しているので、当方の頭の問題かもしれないと思えるだけマシである。
それと同じことだが、あの作品が実戦部隊が老人ばかりで何をやるのもスローだった(そこに生まれる筈の可笑し味も空振りに終わった)のとは対照的で、スケートボードのボードなし版のようなアクションを投入して素早いだけ作品がスマートに見えるのは良い。
画面についても、状況説明というよりは単に場面転換を示す為に置かれるビル群などの(エスタブリッシング・)ショットやジャンプ・ショットの使い方に代表されるように紋切型に陥っているところが目立つが、時々シーンの繋ぎに面白いところがある。代表的なところで前後のシーンにバスを挟んだ繋ぎである。
英米映画で場面の冒頭に置かれるビル群のショットは、小津安二郎の廊下等に相当することに気付いてまだ十余年。気づくのに時間がかかり過ぎた。
2021年イギリス映画 監督マーティン・オーウェン
ネタバレあり
翻案や部分映画化を含めれば40回以上映像化されたチャールズ・ディケンズの「オリヴァー・ツイスト」を、現代英国に舞台を移して映像化した犯罪映画。残念ながら、お話も見せ方も定石通りで面白味を見出せない。
そりゃあ「オリヴァー・ツイスト」を原案にしていればそういう結果になるだろうと言われるかもしれないが、そうではなく、近年作られた集団泥棒映画の定石を繰り返しているだけなのがつまらない理由であって、逆にディケンズ通りに作ればもう少し面白くなったと思われるくらい。そもそも「オリヴァー・ツイスト」から拝借する必要があったのだろうか?
日本の劇場でも観られたが、映画祭の類なので僕の扱いでは日本劇場未公開作品に相当する。
幼年時代に女流画家の母親(共同で脚本を書いているサリー・コレット)に早世された若者オリヴァー(ラフ・ロウ)が宿代わりにしている美術館から逃げる時に知り合ったのが、レッドことナンシー(ソフィー・シムネット)、ドッジ(リタ・オラ)、ベイツィー(フランツ・ドラメ)。この三人が所属している美術泥棒グループを率いるのがフェイギン(マイケル・ケイン)で、相棒は中間管理職たる相棒はサイクス(レナ・ヘディ)。
これらのメンバーが有名美術商ロズバーン(デーヴィッド・ウォリアムズ)の所有する絵画を奪取する為に色々な細工を繰り出すわけで、一々指摘も出来ないが基本的には他の泥棒映画で既に使われたようなアイデア群と思って良いのではないか。
ところが、本作も先日ケインがやはり泥棒リーダーを演じた「キング・オブ・シーヴズ」に似て、何をやっているか解らないところが多い。但し、かの作品がゆっくり見せているにも拘らず良く解らなかったのに対し、こちらは理解する前にどんどん展開しているので、当方の頭の問題かもしれないと思えるだけマシである。
それと同じことだが、あの作品が実戦部隊が老人ばかりで何をやるのもスローだった(そこに生まれる筈の可笑し味も空振りに終わった)のとは対照的で、スケートボードのボードなし版のようなアクションを投入して素早いだけ作品がスマートに見えるのは良い。
画面についても、状況説明というよりは単に場面転換を示す為に置かれるビル群などの(エスタブリッシング・)ショットやジャンプ・ショットの使い方に代表されるように紋切型に陥っているところが目立つが、時々シーンの繋ぎに面白いところがある。代表的なところで前後のシーンにバスを挟んだ繋ぎである。
英米映画で場面の冒頭に置かれるビル群のショットは、小津安二郎の廊下等に相当することに気付いてまだ十余年。気づくのに時間がかかり過ぎた。
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