映画評「スターダスト」(2020年)
☆★(3点/10点満点中)
2020年イギリス映画 監督ガブリエル・レンジ
ネタバレあり
デーヴィッド・ボウイが傑作LP「ジギー・スターダスト」を生み出すまでの艱難辛苦を綴った作品で、お話の繋ぎも余り良くなくて渋い顔をしながら観ていたが、遂にボウイの曲は一曲もかからなかった。どうもボウイ側の協力を得られなかったらしい。その事情を酌んで★一つにしたくなる気持ちを抑えてこの採点までアップさせた。純粋に映画としての出来栄えならもう一つ★を加えても良いだろう。
2作目「スペース・オディティ」がそれなりの評判を取ったものの、続く「世界を売った男」が散々たる評価で落ち込むボウイ(ジョニー・フリン)が、アメリカでの成功をばねにしようと、マネージャーのそれなりの尽力で渡米するが、ビザ絡みで公演ができず、いきなり挫折。
レコード会社マーキュリーでただ一人この新作を買うロン・オバーマン(マーク・マロン)が色々と回ってくれ、ローリング・ストーン誌など音楽雑誌二誌のインタビューに漕ぎつけるが、それもボウイ自身の態度がダメにしてしまう。家系に多い統合失調症を自ら疑う。
が、オバーマンに関係なく、マーキュリーの売り方が悪いのだと、大手RCAがボウイを引き抜く。
音楽史を紐解けば、RCAから出した「ハンキー・ドリー」で本格的に成功したわけだが、彼の名前を一般的にしたのは続く「ジギー・スターダスト」である。僕もお気に入りでアナログとCDの両方を持っている。
「世界を売った男」の女装ジャケットほぼそのままの格好で非公式演奏をしたりして、入国時から差別や非難されたりする模様が多く、彼の言う斬新な音楽を生む苦しみなどを事実上扱っていず、まるで物足りない。極論すれば、LGBTQの苦労昔話を無理やり掘り出した感がある。
因みに、当時ボウイは既にモデルのメアリー・アンジェラ・バーネット(ジェナ・マローン)と結婚しているし、離婚した後も黒人モデルと再婚しているので同性愛者ではないが、グラム・ロックを生み出した一人であるように、一時の見た目はトランスジェンダー的ではあった。
アメリカでの外見批判、統合失調症に対する意識(恐怖?)、妻との確執を絡み合わせた内容だが、まるでとりとめない。ボウイの音楽があればその隙間を多少埋めることもできたかもしれないが、それはないものねだり。敢えて言えば、統合失調症への恐怖がジギー・スターダストという音楽史に残るボウイの分身を生み出したという解釈ができるわけで、この辺りを上手くまとめられなかったか。
使われた曲の中ではヤードバーズの "I Wish You Would" が唯一知っている曲。グラム・ロックの同志?マーク・ボランも出てくるが、彼の率いるTレックスの音楽もかからないのだからお話にならない。
映画が終わった後、直ちに「ジギー・スターダスト」の中の一曲“スターマン”を聴きました。
2020年イギリス映画 監督ガブリエル・レンジ
ネタバレあり
デーヴィッド・ボウイが傑作LP「ジギー・スターダスト」を生み出すまでの艱難辛苦を綴った作品で、お話の繋ぎも余り良くなくて渋い顔をしながら観ていたが、遂にボウイの曲は一曲もかからなかった。どうもボウイ側の協力を得られなかったらしい。その事情を酌んで★一つにしたくなる気持ちを抑えてこの採点までアップさせた。純粋に映画としての出来栄えならもう一つ★を加えても良いだろう。
2作目「スペース・オディティ」がそれなりの評判を取ったものの、続く「世界を売った男」が散々たる評価で落ち込むボウイ(ジョニー・フリン)が、アメリカでの成功をばねにしようと、マネージャーのそれなりの尽力で渡米するが、ビザ絡みで公演ができず、いきなり挫折。
レコード会社マーキュリーでただ一人この新作を買うロン・オバーマン(マーク・マロン)が色々と回ってくれ、ローリング・ストーン誌など音楽雑誌二誌のインタビューに漕ぎつけるが、それもボウイ自身の態度がダメにしてしまう。家系に多い統合失調症を自ら疑う。
が、オバーマンに関係なく、マーキュリーの売り方が悪いのだと、大手RCAがボウイを引き抜く。
音楽史を紐解けば、RCAから出した「ハンキー・ドリー」で本格的に成功したわけだが、彼の名前を一般的にしたのは続く「ジギー・スターダスト」である。僕もお気に入りでアナログとCDの両方を持っている。
「世界を売った男」の女装ジャケットほぼそのままの格好で非公式演奏をしたりして、入国時から差別や非難されたりする模様が多く、彼の言う斬新な音楽を生む苦しみなどを事実上扱っていず、まるで物足りない。極論すれば、LGBTQの苦労昔話を無理やり掘り出した感がある。
因みに、当時ボウイは既にモデルのメアリー・アンジェラ・バーネット(ジェナ・マローン)と結婚しているし、離婚した後も黒人モデルと再婚しているので同性愛者ではないが、グラム・ロックを生み出した一人であるように、一時の見た目はトランスジェンダー的ではあった。
アメリカでの外見批判、統合失調症に対する意識(恐怖?)、妻との確執を絡み合わせた内容だが、まるでとりとめない。ボウイの音楽があればその隙間を多少埋めることもできたかもしれないが、それはないものねだり。敢えて言えば、統合失調症への恐怖がジギー・スターダストという音楽史に残るボウイの分身を生み出したという解釈ができるわけで、この辺りを上手くまとめられなかったか。
使われた曲の中ではヤードバーズの "I Wish You Would" が唯一知っている曲。グラム・ロックの同志?マーク・ボランも出てくるが、彼の率いるTレックスの音楽もかからないのだからお話にならない。
映画が終わった後、直ちに「ジギー・スターダスト」の中の一曲“スターマン”を聴きました。
この記事へのコメント
デヴィッド・ボウイですが、初期の曲などファンキーですよね、ブルース寄りとはちがって、そのせいか、デトロイトなどで黒人向けレコードショップでは人気が高くて、Pファンクなんかはボウイから影響を受けた世代だったんじゃないかと思っています。
ブリティッシュロックは、アメリカの白人だとゲテモノと受け取る人がけっこういる一方で、アメリカの黒人は英国のポップミュージックからアイデアは気軽に取り入れてしまう傾向があって、あれはおもしろいなと。アメリカの白人で本物志向のロックだと、逆にそういうのに抵抗があるようなんですね、黒人にくらべて。
>お察しな物件
僕は知らなかったので、見てしまいましたよ。
映画としての出来がもう少し良くても、それではお話になりませんし、まして出来栄えも大したことがない。
>初期の曲などファンキーですよね
「フェーム」なんてのがファンキーな曲として文字通り有名ですね。
この後彼はベルリンへ渡って、ニューウェーヴ的な音楽に暫し傾倒するのですが。
>Pファンク
パーラメントもファンカデリックも名前はよく知っていてたまにYouTubeで聴きますが、この辺りを聴いていますと、ラップの予兆がありますね。
まだ語れるほど詳しくなく、CDを揃えるリストには入っていますので、これから鋭意勉強します!
>ブリティッシュロックは、アメリカの白人だとゲテモノと受け取る人
それとは違う次元ですが、本作に出てくる米国白人たちの態度は正にそう。最近の映画には珍しく白人以外が殆ど出て来ない作品でした。