映画評「パリの調香師 しあわせの香りを探して」
☆☆★(5点/10点満点中)
2019年フランス映画 監督グレゴリー・マーニュ
ネタバレあり
先般観た「ローズメイカー 奇跡のバラ」というフランス映画に優れた嗅覚を持つ青年が出て来た。フランス映画は嗅覚映画(?)が好きなようでござる。
一時期原題を重視する時代があったが、現在は昔以上に原題を大事にしない時代になっている。それはまだ良いのだが、題名で内容を語らせて観客を呼ぼうとする配給会社の魂胆が良くない。 しかも “奇跡” だの “しあわせ” だの余り有難くない付録が洩れなく付いてくる。
ハイヤー運転手グレゴリー・モンテルは、娘ゼリー・リクソンの共同親権を得る為に必死に働いているが、免許剝奪直前。それを受けて首にする勢いの雇い主を拝み倒したところ、人当たりの非常に悪い元天才調香師エマニュエル・ドヴォスの運転手をする仕事がやって来る。
彼女は、今でも調香師としての才能があるが、ストレスで鼻が利かなくなった時期の失敗で凋落し、現在は悪臭を誤魔化したり匂い再現といった行政的な仕事に甘んじている。一流メーカーの香水を作る仕事にカムバックしようと焦る結果が他人に対しての礼儀知らずの一因になっているようなのだが、自分の態度に口を挟んでくる運転手が匂い・臭いに対してなかなかの鼻を持っていることに気付き、相互を補完する相棒のようになっていく。
というお話で、「ローズメイカー」同様、人間関係が型通りなのが弱い。かの作品よりは全般的に品が良く、運転手の娘や調香師との交流に微笑ましい場面が多いという取柄があって憎めない作品であるが、それが陳腐という弱点を補うところまでは行かない。
元妻を殆ど出さないのはセンスよろし。
毎年律義にお盆の墓参りにやって来る甥Bは、今年体調を崩して、家でごろごろ。母親即ち僕の姉は“匂いは感じるらしいのよ”とコロナの疑惑を否定したが、そもそもオミクロン系列は嗅覚障害は余り発生しないんじゃなかったっけ?
2019年フランス映画 監督グレゴリー・マーニュ
ネタバレあり
先般観た「ローズメイカー 奇跡のバラ」というフランス映画に優れた嗅覚を持つ青年が出て来た。フランス映画は嗅覚映画(?)が好きなようでござる。
一時期原題を重視する時代があったが、現在は昔以上に原題を大事にしない時代になっている。それはまだ良いのだが、題名で内容を語らせて観客を呼ぼうとする配給会社の魂胆が良くない。 しかも “奇跡” だの “しあわせ” だの余り有難くない付録が洩れなく付いてくる。
ハイヤー運転手グレゴリー・モンテルは、娘ゼリー・リクソンの共同親権を得る為に必死に働いているが、免許剝奪直前。それを受けて首にする勢いの雇い主を拝み倒したところ、人当たりの非常に悪い元天才調香師エマニュエル・ドヴォスの運転手をする仕事がやって来る。
彼女は、今でも調香師としての才能があるが、ストレスで鼻が利かなくなった時期の失敗で凋落し、現在は悪臭を誤魔化したり匂い再現といった行政的な仕事に甘んじている。一流メーカーの香水を作る仕事にカムバックしようと焦る結果が他人に対しての礼儀知らずの一因になっているようなのだが、自分の態度に口を挟んでくる運転手が匂い・臭いに対してなかなかの鼻を持っていることに気付き、相互を補完する相棒のようになっていく。
というお話で、「ローズメイカー」同様、人間関係が型通りなのが弱い。かの作品よりは全般的に品が良く、運転手の娘や調香師との交流に微笑ましい場面が多いという取柄があって憎めない作品であるが、それが陳腐という弱点を補うところまでは行かない。
元妻を殆ど出さないのはセンスよろし。
毎年律義にお盆の墓参りにやって来る甥Bは、今年体調を崩して、家でごろごろ。母親即ち僕の姉は“匂いは感じるらしいのよ”とコロナの疑惑を否定したが、そもそもオミクロン系列は嗅覚障害は余り発生しないんじゃなかったっけ?
この記事へのコメント
調香師の仕事のようすが見られるのがおもしろかったです。あと、仕事を取って来る代理人、エージェントですか、がいるんですね。小林信彦がエッセイで、一時期テレビの仕事をしていたときエージェントがついてくれたことがあって助かった、でも今はいないから書く以外のめんどうな仕事もいろいろあって云々と書いていたのを思い出しました。
アメリカ映画見てると、エージェントがいるのでめんどうな例も多いみたいですけどね。
>調香師の仕事のようすが見られるのがおもしろかったです。
映画の効能(?)の一つに、色々な職業を知ることができるということがありますよね。その典型でしょう。
辛口になりましたが、嫌いな映画ではなかった。
>エージェント
昨日、給湯管の修理に来た業者のお兄さんと話したのは、携帯電話は便利にして時に不便ということ。不便というより煩わしい。
それと似た感じですかね。