映画評「君が落とした青空」
☆☆★(5点/10点満点中)
2022年日本映画 監督Yuki Saito
ネタバレあり
監督も出演者も全く知らない青春映画なので、【W座からの招待状】の枠でなければ、観なかっただろうなあ。
原作はケータイ小説(作:櫻いいよ)ということだが、【W座】がケータイ小説の映画を扱うとは、映画ファンにとってWOWOWの未来は明るくない。
毎月1日(朔日)に映画を観るということに拘って2年間交際を続けて来た高校生のカップルが主役。
ヒロイン福本莉子は、その関係性においては極めてステディーな仲である松田元太から、急用を理由に1日の映画鑑賞をキャンセルされてしまい傷つく。その為に夢中で道路を渡ろうとして車にはねられそうになる彼女を救おうとして彼がはねられる。その瞬間落雷があって、彼女は目を覚ます。しかし、彼女の意識は翌日である筈なのに何と再び1日である。
既に経験した知識を利用して事故を回避しようとするが、消極的な改編では運命は変えられない。ところが、3回目のトライで彼女は彼を突き飛ばす。これで運命は変わるか?
その後彼女が病院で目を覚ますと、2日になっていて、松田君は昏睡状態である。つまり、最初の状態に戻っただけ。
「恋はデ・ジャブ」(1993年)に似た発想で、それに「オール・ユー・ニード・イズ・キル」と「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を合わせたような雰囲気があるが、この映画はファンタジーでもSFでもない。
最後の交通事故と齟齬する病院での二人の状態を考えれば、タイムループもタイムリープも発生していない。同じ日の繰り返しは、ヒロインの脳内で起きていたことと考えるほかあるまい。
終わってみれば、恋愛において一歩前進できずにいた少女が夢での経験を通して成長、恋愛感情を確固たるものにするというお話である。
僕が少し惹かれたのは、タイムループと同じく毎日が同じことの繰り返しと思っていたのに、夢で同じ日に悪戦苦闘する最中で微妙な違いを経験したことから、現実世界でも同じ(ような)日などないと気づく点である。彼女はこれに気づくことで人間的に大いに成長する次第。
秘密を巡るすれ違いやライバルの存在など、本作程度の恋愛模様ならどうでも良いが、このAnother Day(同じような日)の扱い方は少々新味を感じる。
ポール・マッカートニーの名曲「アナザー・デイ」Another Day のヒロインに教えてあげたい。
2022年日本映画 監督Yuki Saito
ネタバレあり
監督も出演者も全く知らない青春映画なので、【W座からの招待状】の枠でなければ、観なかっただろうなあ。
原作はケータイ小説(作:櫻いいよ)ということだが、【W座】がケータイ小説の映画を扱うとは、映画ファンにとってWOWOWの未来は明るくない。
毎月1日(朔日)に映画を観るということに拘って2年間交際を続けて来た高校生のカップルが主役。
ヒロイン福本莉子は、その関係性においては極めてステディーな仲である松田元太から、急用を理由に1日の映画鑑賞をキャンセルされてしまい傷つく。その為に夢中で道路を渡ろうとして車にはねられそうになる彼女を救おうとして彼がはねられる。その瞬間落雷があって、彼女は目を覚ます。しかし、彼女の意識は翌日である筈なのに何と再び1日である。
既に経験した知識を利用して事故を回避しようとするが、消極的な改編では運命は変えられない。ところが、3回目のトライで彼女は彼を突き飛ばす。これで運命は変わるか?
その後彼女が病院で目を覚ますと、2日になっていて、松田君は昏睡状態である。つまり、最初の状態に戻っただけ。
「恋はデ・ジャブ」(1993年)に似た発想で、それに「オール・ユー・ニード・イズ・キル」と「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を合わせたような雰囲気があるが、この映画はファンタジーでもSFでもない。
最後の交通事故と齟齬する病院での二人の状態を考えれば、タイムループもタイムリープも発生していない。同じ日の繰り返しは、ヒロインの脳内で起きていたことと考えるほかあるまい。
終わってみれば、恋愛において一歩前進できずにいた少女が夢での経験を通して成長、恋愛感情を確固たるものにするというお話である。
僕が少し惹かれたのは、タイムループと同じく毎日が同じことの繰り返しと思っていたのに、夢で同じ日に悪戦苦闘する最中で微妙な違いを経験したことから、現実世界でも同じ(ような)日などないと気づく点である。彼女はこれに気づくことで人間的に大いに成長する次第。
秘密を巡るすれ違いやライバルの存在など、本作程度の恋愛模様ならどうでも良いが、このAnother Day(同じような日)の扱い方は少々新味を感じる。
ポール・マッカートニーの名曲「アナザー・デイ」Another Day のヒロインに教えてあげたい。
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