映画評「我らの父よ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2020年イタリア映画 監督クラウディオ・ノーチェ
ネタバレあり
イタリア映画祭で公開されただけなので、公式にはこれも日本劇場未公開映画に当たるんだねえ。もう少し興味深い作品なら、それもまた良し、なのだけど。
イタリアでテロが多かった1970年代のお話で、舞台設定は1976年。
警察幹部ピエルフランチェスコ・ファヴィーノが左翼テロリストに襲われ負傷する。10歳くらいの息子マッティア・ガラーチ君がそれに衝撃を受け、結局妹を含めて一家四人で父方の祖父の家に避難する。
そこへローマ時代に知り合った年上の貧乏少年フランチェスコ・ゲギが現れ、楽しく過ごす。しかし、マッティア君は少年も好きだが、それ以上に父親に傾倒し、そこからちょっとした確執が生じる。崖でフランチェスコ君が彼の手を取ろうとしたところへ、父親が現れる。やがて振り返ると、崖から飛び下りたのか、もはやフランチェスコ君の姿はない。
一種の友情映画である。
フランチェスコが謎めいた出没をするので“イマジナリー・フレンドだと思っていた”という感想が多いが、そんなことを思うには及ばない。何となれば、40年後くらいの現在二人の紳士が遭遇するアヴァンタイトルがあるからである。このアヴァンタイトルを受けて1976年と字幕が出る以上、ここに出てくる少年二人はアヴァンタイトルの紳士二人であることは頭をひねって考えるまでもない。
しかるに、そこに気づかずに、イマジナリー・フレンドであるかどうか考えて観ていた人は寧ろ幸せで、僕は、どうしてこう解りにくい見せ方をするのか、監督クラウディオ・ノーチェの一人合点に不満が爆発し続けていた。場面の繋ぎも概してスムーズでない。
多少良いのは、車を追い抜くバイクをめぐる挿話の辺りから暫く続く不穏な空気感の醸成だが、全体的に、父親の心情などどうも解りにくい箇所が多くて楽しめない。
父親がマフィアみたいな雰囲気という意見には僕も頷いてしまう一方、実際に官憲とマフィアがどれくらい違うか疑ってもいる(笑)
2020年イタリア映画 監督クラウディオ・ノーチェ
ネタバレあり
イタリア映画祭で公開されただけなので、公式にはこれも日本劇場未公開映画に当たるんだねえ。もう少し興味深い作品なら、それもまた良し、なのだけど。
イタリアでテロが多かった1970年代のお話で、舞台設定は1976年。
警察幹部ピエルフランチェスコ・ファヴィーノが左翼テロリストに襲われ負傷する。10歳くらいの息子マッティア・ガラーチ君がそれに衝撃を受け、結局妹を含めて一家四人で父方の祖父の家に避難する。
そこへローマ時代に知り合った年上の貧乏少年フランチェスコ・ゲギが現れ、楽しく過ごす。しかし、マッティア君は少年も好きだが、それ以上に父親に傾倒し、そこからちょっとした確執が生じる。崖でフランチェスコ君が彼の手を取ろうとしたところへ、父親が現れる。やがて振り返ると、崖から飛び下りたのか、もはやフランチェスコ君の姿はない。
一種の友情映画である。
フランチェスコが謎めいた出没をするので“イマジナリー・フレンドだと思っていた”という感想が多いが、そんなことを思うには及ばない。何となれば、40年後くらいの現在二人の紳士が遭遇するアヴァンタイトルがあるからである。このアヴァンタイトルを受けて1976年と字幕が出る以上、ここに出てくる少年二人はアヴァンタイトルの紳士二人であることは頭をひねって考えるまでもない。
しかるに、そこに気づかずに、イマジナリー・フレンドであるかどうか考えて観ていた人は寧ろ幸せで、僕は、どうしてこう解りにくい見せ方をするのか、監督クラウディオ・ノーチェの一人合点に不満が爆発し続けていた。場面の繋ぎも概してスムーズでない。
多少良いのは、車を追い抜くバイクをめぐる挿話の辺りから暫く続く不穏な空気感の醸成だが、全体的に、父親の心情などどうも解りにくい箇所が多くて楽しめない。
父親がマフィアみたいな雰囲気という意見には僕も頷いてしまう一方、実際に官憲とマフィアがどれくらい違うか疑ってもいる(笑)
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