映画評「ボス・ベイビー ファミリー・ミッション」

☆☆★(5点/10点満点中)
2021年アメリカ映画 監督トム・マクグラス
ネタバレあり

第1作では “魂交換もの” のヴァリエーションと思えて余り楽しめなかった記憶があるが、魂交換と違うのは、赤ん坊が心の中ではなく実際に大人のように喋り、大人のように行動するところで、そう思って観ると、案外面白く見られる。
 結果的に今回のほうが楽しめたのは事実であるが、面白い映画が益々減っているせいかもしれない。

前回弟に嫉妬したティム君(声:ジェームズ・マースデン)はすっかり大人になって、今ではタビサ(声:アリアーナ・グリーンブラット)とティナ(声:エイミー・セダリス)という娘二人の父親である。昔ボス・ベイビーだった弟テッド(声:アレック・ボールドウィン)は兄と不仲で、なかなか家を訪れない。
 実はまだ赤子の妹ティナはボス・ベイビーで、ある指令の為にティムになりすましてテッドを呼び出し、二人を使ってタビサの通う学校で校長のアームストロング博士(声:ジェフ・ゴールドブラム)が画策している良からぬことを探り出し、事前に潰してしまおうとする。
 ティムとテッドは48時間だけ効力のある若くなる薬を浴びて第1作の時くらいの年齢になり、学校に入って様子を探ろうとするが、敵もさるもので、なかなか思うように行かない。
 やがて、それが或る(音痴のタビサが何故かソロを披露することにもなっている)イベントで訪れた親たちを一種の催眠術で自在に思うようにするベイビー革命であることを突き止めたティナは、囚われのティムとテッドを解放し、計画を未然に防ごうと大奮闘する。

最終的には、親と子の、あるいは兄弟の愛情や絆という、アメリカのファミリー(家族向け)映画がお好きなテーマに収斂していき、全く心が動かないわけではないものの、またかという印象も禁じ得ない。
 活劇的には、ティム、テッド、ティナ、タビサのTクァルテットが全員活躍するように配分されているのが良い。

本作の兄弟・姉妹はファースト・ネームをTで揃えているが、昔アメリカというフォーク・ロック・グループが暫くアルバムのタイトルをHで始まるようにしていたのを思い出す。

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