映画評「警部」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1979年フランス映画 監督ジョルジュ・ロートネル
ネタバレあり

ジャン=ポール・ベルモンド第3弾は、お話がぐっと掴みやすい。宍戸錠主演の日活アクション的な内容と思えば、当たらずと雖も遠からず。

警部と娼婦が殺される事件が発生する。カナダの刑務所から出所して戻って来たという流れ者ベルモンドが、その警部の家に乗り込んだり、暗黒街の大立者を裸にむいて放り出したり、やりたい放題。その経営するカジノを爆破した時に、お客だった美人マリー・ラフォレと親しくなり、その家に居つく。

英国にいた14歳の娘ジュリー・ジゼクェルが加わってから、大体彼の正体が判って来るが、邦題で彼の正体が警部であることが事前に見当がついてしまうのは良し悪し(原題も、刑事か悪党か、なので大差はない)。もっと正確に言えば、彼は汚職刑事の内偵を専門にする警部で、暗黒街と繋がりのある刑事二人を処分する為に陽動作戦を敢行していた、という真相が判って来る。

僕が最初に思い浮かべたのは宍戸錠主演のアクション映画だが、ある人の言うのを参考にして、ルパン三世に影響を与えたと言われるベルモンドが、その言説通り(ルパン三世のように)コミカルにかつ軽快に行動をする作品、と言ったほうが若い人には解りやすいかもしれない。

彼の正体が観客にも他の刑事にも判明した後は、彼と悪党刑事側との出し抜き合いの様相を呈して来、場面の繋ぎに間の抜けたところがあるものの、それなりに楽しめる。
 監督のジョルジュ・ロートネルは、本作に限らず、洒落っ気を見せようとして上滑りする傾向にあり、もっと洒落っ気がきちんと機能すれば後世に名を残すような快作になったかもしれない。

ジョルジュ、老と寝る?

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