映画評「ボストン市庁舎」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2020年アメリカ映画 監督フレデリック・ワイズマン
ネタバレあり
フレデリック・ワイズマンの例によって例の如き、即実に徹したドキュメンタリー。
彼の作品としては、中でも前回観た「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」に共通する部分の多い内容だが、多岐に渡る図書館の活動に比しても遥かに多い業務を紹介していくため、前回の205分よりもぐっと長い274分という長尺である。
一日にこれだけの時間を使うと他の仕事に支障が出るので、二日に分けて鑑賞した。良くも悪くも、どこを切り取っても金太郎飴のような場面なので、大きな影響をないだろう。
若いホームレスの問題の議論、帰還兵による戦争についての陳述、生徒数増加で狭くなった学校に関する議論、公的大麻販売店に関する議論・討論など、延々とそのまま撮るので、ここに映画的な面白味は全くない。
同じドキュメンタリーでも、マイケル・ムーアなどと違って、ワイズマンの映画は正に “記録” 映画なのである。扱われる素材に関して何の主張もしないし、観客を誘導もしない。全ては観客任せである。
現在のボストン市は、東海岸らしく極めてリベラルであり、環境問題、ジェンダー問題、人種民族差別問題、LGBTQに関して公平に扱おうと努力していることが伺える。映画が観照に徹しているとは言っても、かかるボストン市を素材に選んだ時点で、ある程度この監督者の思想的背景は見えると言うべし。
点出的に、2018年のレッドソックスの優勝パレード、駐車違反に対する市役所職員の苦情処理、ねずみ駆除相談、木の枝の処理模様などが挿入され、なかなか興味深く見つつ、市の業務の幅広さに頭が下がる思いであった。役人の対応がマニュアル通りという感じではないのも好感が持てる。
市長は2021年にバイデン政権労働長官に就任したマーティン・ウォルシュ。半数以上が非白人というボストンにおいて、市民は、余程国家主義的な人物でもなければ、多様性を重んじる彼の姿勢に安心できたことであろう。
それはともかく、滔々とよく喋る。官僚もよく喋る。どなたかも仰っていたように、紙に書かれたものを読みながら話をすることの多い我が国の閣僚や官僚と全く質が違う。彼らが大リーガーなら、日本人は中学野球くらいだ。
ねずみ駆除と言えば、この映画を観た翌日に我が家にハツカネズミがいると判明した。夜分になると時々変な音がすると思っていたところ、食べた後の栗の皮を狭い所へ持って行って食べる輩がいるのだ。一匹だろうか? 5,6年前には4匹いた全てがごきぶりホイホイに見事に引っかかった。数年前からドアの開閉の具合が悪く、時々締め切らないことがあった。寝る前にはさすがに完全に締めるが、この隙間から入ってきたらしい。両面テープで代替品を作ったが効果がないので、これからごきぶりホイホイを買って来る。可哀想だが、こちらが病気にでもなったら困るので、仕方がない。
2020年アメリカ映画 監督フレデリック・ワイズマン
ネタバレあり
フレデリック・ワイズマンの例によって例の如き、即実に徹したドキュメンタリー。
彼の作品としては、中でも前回観た「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」に共通する部分の多い内容だが、多岐に渡る図書館の活動に比しても遥かに多い業務を紹介していくため、前回の205分よりもぐっと長い274分という長尺である。
一日にこれだけの時間を使うと他の仕事に支障が出るので、二日に分けて鑑賞した。良くも悪くも、どこを切り取っても金太郎飴のような場面なので、大きな影響をないだろう。
若いホームレスの問題の議論、帰還兵による戦争についての陳述、生徒数増加で狭くなった学校に関する議論、公的大麻販売店に関する議論・討論など、延々とそのまま撮るので、ここに映画的な面白味は全くない。
同じドキュメンタリーでも、マイケル・ムーアなどと違って、ワイズマンの映画は正に “記録” 映画なのである。扱われる素材に関して何の主張もしないし、観客を誘導もしない。全ては観客任せである。
現在のボストン市は、東海岸らしく極めてリベラルであり、環境問題、ジェンダー問題、人種民族差別問題、LGBTQに関して公平に扱おうと努力していることが伺える。映画が観照に徹しているとは言っても、かかるボストン市を素材に選んだ時点で、ある程度この監督者の思想的背景は見えると言うべし。
点出的に、2018年のレッドソックスの優勝パレード、駐車違反に対する市役所職員の苦情処理、ねずみ駆除相談、木の枝の処理模様などが挿入され、なかなか興味深く見つつ、市の業務の幅広さに頭が下がる思いであった。役人の対応がマニュアル通りという感じではないのも好感が持てる。
市長は2021年にバイデン政権労働長官に就任したマーティン・ウォルシュ。半数以上が非白人というボストンにおいて、市民は、余程国家主義的な人物でもなければ、多様性を重んじる彼の姿勢に安心できたことであろう。
それはともかく、滔々とよく喋る。官僚もよく喋る。どなたかも仰っていたように、紙に書かれたものを読みながら話をすることの多い我が国の閣僚や官僚と全く質が違う。彼らが大リーガーなら、日本人は中学野球くらいだ。
ねずみ駆除と言えば、この映画を観た翌日に我が家にハツカネズミがいると判明した。夜分になると時々変な音がすると思っていたところ、食べた後の栗の皮を狭い所へ持って行って食べる輩がいるのだ。一匹だろうか? 5,6年前には4匹いた全てがごきぶりホイホイに見事に引っかかった。数年前からドアの開閉の具合が悪く、時々締め切らないことがあった。寝る前にはさすがに完全に締めるが、この隙間から入ってきたらしい。両面テープで代替品を作ったが効果がないので、これからごきぶりホイホイを買って来る。可哀想だが、こちらが病気にでもなったら困るので、仕方がない。
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