映画評「ゴーストバスターズ/アフターライフ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2021年アメリカ=カナダ合作映画 監督ジェイスン・ライトマン
ネタバレあり

このシリーズの第一作が公開された頃は既にれっきとした社会人で、ヒットはしたものの、些かアメリカ的過ぎる乗りの為に個人的にそう面白いものとは思わなかった。それがまあ本作の評価のある程度の前提となるということを予め述べておきます。

2016年に事実上のリメイクが女性版として作られ、本作がシリーズの第3作という扱いとなるらしい。

とは言ってもオリジナルのメンバーたちは高齢化し、ハロルド・レイミスが既に故人であるので、主役として、亡くなったレイミスが演じたスペングラーの孫娘フィービー(マッケンナ・グレース)が登場し、赤貧で引っ越した亡き父親のおんぼろ屋敷に引っ越し、兄トレヴァー(フィン・ウォルフハード)や、サマースクールで親しくなったポッドキャスト(ローガン・キム)とトリオを組み、祖父が残したマシーンを使って妖怪退治を行うというのがメインのお話。
 その間に、科学嫌いで父親(祖父)と不仲だったフィービーたちの母親キャリー(キャリー・クーン)が娘の教師グルバーソン(ポール・ラッド)と親しくなったり、シュメールに由来するゴーストに身体を乗っ取られる事件を経て、亡き父親の価値を見出す、という母親絡みのお話も紹介される。

終盤に懐かしいオリジナル・メンバーが総登場するのがファンなら嬉しいだろうが、上述したように第1~2作に何の思い入れもないので、それは僕には得点源にならない。但し、個人のレイミスがコンピューター処理で幽霊として出てくるのは違った意味で感慨を覚える。

監督が正編監督の嗣子ジェイスン・ライトマンで、前回のリメイク(女性版リブート)よりはがっちりと作られてはいるが、年を取ったせいで子供が主役のファンタジーやアクションは食指が動かないので☆★は伸びない。尤も昔の「グーニーズ」もそれほど評価した記憶がないわけで、僕を喜ばせるには「E・T]くらいの同時代的新機軸や映画的技術(映画言語/カット割りの的確さ・面白さ)がないと無理なのである。

昔のヒット作に頼った企画ではあります。この間(かん)映画製作関係のドキュメンタリーを観て来たが、SFX関係者を含めて映画関係者はアメリカ映画の現状を相当憂えている模様。むべなるかな。

この記事へのコメント

2022年11月06日 11:13
>昔のヒット作に頼った企画

これはほんとに気になりますね、アメリカ映画ファンとしては。
過去作品のリメイクといっても、それこそもっと大昔の作品に参考になるものがあるんじゃないかって。リメイクでなくても、そこからヒントをもらって仕立て直すくらいハリウッドならできそうじゃないですか。なんで「ゴーストバスターズ」なんだろう?
オカピー
2022年11月06日 20:21
nesskoさん、こんにちは。

>それこそもっと大昔の作品に参考になるものがあるんじゃないか

僕もリメイクなりするなら、本当に大昔のものを発掘して欲しいと思いますよ。

「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」は、戦前の「ガンガ・ディン」の実質的なリメイクみたいな感じでした。スピルバーグは本当に映画好きというのが伺えてうれしかった次第。