映画評「コンフィデンスマンJP 英雄編」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2022年日本映画 監督・田中亮
ネタバレあり
TV番組の映画版シリーズ第3弾。前回まで出ていた三浦春馬と竹内結子が自死して登場しないのは少々複雑な思いをするが、本編中で彼らは引退したことになって言及されているのは少し感慨を呼ぶ。
例によって例の如く入り組んでいるので、短い文章でお話の流れを洩れなく述べるのは無理である。どう述べるかが腕の見せどころ、などという程の腕はありませんが。
2年間も仕事をしていない沈滞状況を打破しようと、仕事推進派のダー子(長澤まさみ)が、引退派のボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)に、次の仕事で勝った者がツチノコ(4代目)という日本詐欺師の最高の称号を得、その者に服従することにしよう、と提案をする。
かくして夫々別個にマルタに出かけ、麻薬マフィアのゴンザレス(城田優)の所有する古代ギリシャの小像をまんまと仕留める仕事に取り掛かるが、そこへインターポールの捜査官マルセル真梨邑(瀬戸康史)や日本の丹波刑事(松重豊)が乗り込んで来たため、難儀する。
アウトラインはこんな感じ。ダー子の協力者と思われた五十嵐(小手伸也)が他の二人とも内通していたと判明するのがどんでん返しの第一弾で、それを説明する為に同じ場面が別のアングルから繰り返されることになる。
この手法は、本シリーズの特徴でもあるが、もっと大きなどんでん返しでも再三再四繰り返され、くどい印象を醸成するのは否めない。
同時に賢い手法でもあり、矛盾や映像の嘘を指摘しにくくなる。そもそも時には身内も裏切る詐欺師連中のお話であるから、仲間だけしかいない状況でも噓がある。そういうのは劇中の演技であって、映像の嘘ではない。
それが最もややこしく反映されたのが、三人が逮捕された後の三人の会話である。ボクちゃんのそれは本当だが、ダー子の涙ぐんだ表情は演技である。これは身内を騙す嘘というだけではなく、カメラで見ている真梨邑等を意識しているわけである。しかるに、丹波がリチャードに仕込まれた眠り薬にほぞを噛むシーンは、身内でない者が隣にいると雖も、映像の嘘に関して微妙なところで、かなり黒に近い。
といった具合に左脳人間故に楽しみ切れないところがある一方、観客を楽しませようと色努力しているのが伺えるので、第2作より★一つ多め即ち第1作と同じ星を進呈することにします。
ダー子なる仇名は、駄々っ子から来ているらしい。
2022年日本映画 監督・田中亮
ネタバレあり
TV番組の映画版シリーズ第3弾。前回まで出ていた三浦春馬と竹内結子が自死して登場しないのは少々複雑な思いをするが、本編中で彼らは引退したことになって言及されているのは少し感慨を呼ぶ。
例によって例の如く入り組んでいるので、短い文章でお話の流れを洩れなく述べるのは無理である。どう述べるかが腕の見せどころ、などという程の腕はありませんが。
2年間も仕事をしていない沈滞状況を打破しようと、仕事推進派のダー子(長澤まさみ)が、引退派のボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)に、次の仕事で勝った者がツチノコ(4代目)という日本詐欺師の最高の称号を得、その者に服従することにしよう、と提案をする。
かくして夫々別個にマルタに出かけ、麻薬マフィアのゴンザレス(城田優)の所有する古代ギリシャの小像をまんまと仕留める仕事に取り掛かるが、そこへインターポールの捜査官マルセル真梨邑(瀬戸康史)や日本の丹波刑事(松重豊)が乗り込んで来たため、難儀する。
アウトラインはこんな感じ。ダー子の協力者と思われた五十嵐(小手伸也)が他の二人とも内通していたと判明するのがどんでん返しの第一弾で、それを説明する為に同じ場面が別のアングルから繰り返されることになる。
この手法は、本シリーズの特徴でもあるが、もっと大きなどんでん返しでも再三再四繰り返され、くどい印象を醸成するのは否めない。
同時に賢い手法でもあり、矛盾や映像の嘘を指摘しにくくなる。そもそも時には身内も裏切る詐欺師連中のお話であるから、仲間だけしかいない状況でも噓がある。そういうのは劇中の演技であって、映像の嘘ではない。
それが最もややこしく反映されたのが、三人が逮捕された後の三人の会話である。ボクちゃんのそれは本当だが、ダー子の涙ぐんだ表情は演技である。これは身内を騙す嘘というだけではなく、カメラで見ている真梨邑等を意識しているわけである。しかるに、丹波がリチャードに仕込まれた眠り薬にほぞを噛むシーンは、身内でない者が隣にいると雖も、映像の嘘に関して微妙なところで、かなり黒に近い。
といった具合に左脳人間故に楽しみ切れないところがある一方、観客を楽しませようと色努力しているのが伺えるので、第2作より★一つ多め即ち第1作と同じ星を進呈することにします。
ダー子なる仇名は、駄々っ子から来ているらしい。
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