映画評「カモン カモン」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2021年アメリカ映画 鑑賞マイク・ミルズ
ネタバレあり
マイク・ミルズは人間関係の機微に非常に関心を持っている監督である。それも親子や肉親という、他人ではない人間同士を取り上げることが多い。本作はその典型と言うべし。
ラジオ・ジャーナリストのホアキン・フェニックスが、妹ギャビー・ホフマンが躁鬱病を病む夫スクート・マイネイリーの世話をする為にLAの自宅を離れることになった為、その9歳の息子ウッディー・ノーマンと同居生活をする羽目になる。自身に子供がない上に、ウッディー君が賢くかつ素直でない為にその扱いに非常に難儀する。ギャビーは夫君の具合が芳しくなくて日延べを繰り返す。
しかし、そのひねくれた子供の、大人には余りない、観念的でない発想に学ぶところ多く、少年との距離感も縮まり、児童へのインタビューという仕事に生きて来る。
というお話で、画面はモノクロ、1970年代のポール・マザースキーを時に思い起こさせるスケッチ描写が光る。
つまり、セミ・ドキュメンタリー・タイプの作品であるが、多分フェニックスによる子供たちへのインタビューは、河瀨直美がしばしば試みている演技の混在であろう。フェニックスは演技者としてであると同時に本物のインタビュアーとして、台本のない子供たちから生の声を聞いていると思われる。この部分は事実上のドキュメンタリーということだ。
人生経験も薄いのに大人に直球的に非難の言葉をぶつける子供が僕は嫌いだが、こういう斜に構えたひねくれた言動には、フェニックスならずとも色々と考えされられるものがある。但し、行方をくらます癖は良くない。
映画としては伯父さんと甥が二人でいる場面が断然素晴らしく、演じる二人も好演。
カモンカモンと言えば、ビートルズ・ファンたる僕は、「プリーズ・プリーズ・ミー」を思い出す。
2021年アメリカ映画 鑑賞マイク・ミルズ
ネタバレあり
マイク・ミルズは人間関係の機微に非常に関心を持っている監督である。それも親子や肉親という、他人ではない人間同士を取り上げることが多い。本作はその典型と言うべし。
ラジオ・ジャーナリストのホアキン・フェニックスが、妹ギャビー・ホフマンが躁鬱病を病む夫スクート・マイネイリーの世話をする為にLAの自宅を離れることになった為、その9歳の息子ウッディー・ノーマンと同居生活をする羽目になる。自身に子供がない上に、ウッディー君が賢くかつ素直でない為にその扱いに非常に難儀する。ギャビーは夫君の具合が芳しくなくて日延べを繰り返す。
しかし、そのひねくれた子供の、大人には余りない、観念的でない発想に学ぶところ多く、少年との距離感も縮まり、児童へのインタビューという仕事に生きて来る。
というお話で、画面はモノクロ、1970年代のポール・マザースキーを時に思い起こさせるスケッチ描写が光る。
つまり、セミ・ドキュメンタリー・タイプの作品であるが、多分フェニックスによる子供たちへのインタビューは、河瀨直美がしばしば試みている演技の混在であろう。フェニックスは演技者としてであると同時に本物のインタビュアーとして、台本のない子供たちから生の声を聞いていると思われる。この部分は事実上のドキュメンタリーということだ。
人生経験も薄いのに大人に直球的に非難の言葉をぶつける子供が僕は嫌いだが、こういう斜に構えたひねくれた言動には、フェニックスならずとも色々と考えされられるものがある。但し、行方をくらます癖は良くない。
映画としては伯父さんと甥が二人でいる場面が断然素晴らしく、演じる二人も好演。
カモンカモンと言えば、ビートルズ・ファンたる僕は、「プリーズ・プリーズ・ミー」を思い出す。
この記事へのコメント
最近のアメリカ映画(メジャー)は、型にはまりすぎた作品ばかりで面白くない中で、インディなのかもしれませんが、こういう映画は映画らしくて良いですね。