映画評「ザ・ファーム 法律事務所」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1993年アメリカ映画 監督シドニー・ポラック
ネタバレあり
法曹ものを得意とするジョン・グリシャムのベストセラーの映画化。1994年WOWOWで観て以来の28年ぶりの再鑑賞でござる。
ハーバード大出身の秀才トム・クルーズが、財務に強い南部メンフィスの法律事務所に就職して、妻ジーン・トリプルホーンと愛犬と主に移住し、幸福な気分を味わっている。先輩ジーン・ハックマンと出かけたケイマン諸島では良い仕事をして彼を感心させる。
が、ケイマンで先輩弁護士二人が謎の死を遂げるという事件が発生、謎の二人組(実はFBI捜査官、一人はエド・ハリス)に声を掛けられ、お宅の事務所に所属した弁護士の死亡率が高いとかまをかけられる。
不審に思って少々調べることになるが、同時にある顧客からお宅の経費請求は異常に高いと文句を言われる。
映画はこの二つを交錯させながら進むのだが、終わってみるとこの設定がなかなか上手く機能していると判るのだ。ケイマン諸島での行きずりの関係も布石として効いてい、ケイマン諸島にいつもの仕事に出たハックマンの滞在先から資料を拝借する際に、嫉妬を口実に同地に赴いた細君が夫君の代りに大活躍することになる。
少しお話を前に戻す。
FBIはマフィア逮捕の為に協力しろと服役中の兄デーヴィッド・ストラザーンの釈放絡みでクルーズを半ば脅迫し、事務所の警備関係者もケイマン諸島での行きずり写真をちらつかせFBIには協力するなよと脅しをかけてくる。
彼はどちらにも動きにくくなるが、兄の知り合いたる私立探偵の秘書ホリー・ハンターの絶大なる協力を得ることでその狭間を突き抜けるチャンスを伺う。
おおよそこんなお話で、サスペンスというジャンルに拘ると就職絡みの序盤に冗長に近い印象があるのは僕も否定しないものの、同様に否定的な意見の多い細君絡みの感情的な部分は最後まで見ると上述したようにうまく機能しているので、敢えて短くしたりバッサリ切ってしまうには及ばない。
FBIも事務所もクルーズの真意を掴めなかったことが判明する幕切れを含め大体において興味深く見られ、サスペンスが本格化してからは、中でも警備幹部とマフィアから逃れる部分のアクションを交えたサスペンスなど、これ以降のクルーズ映画を予感させるようなところがあって面白い。
恋愛感情を扱う作品が得意なシドニー・ポラックはやや畑違いだが、大きな問題はなし。
原作は「法律事務所」で日本に紹介されている。映画の正タイトルは「ザ・ファーム」で、「法律事務所」がサブタイトルなのだろう。原作が映画公開より先に紹介された場合この手の邦題の作り方がある。
1993年アメリカ映画 監督シドニー・ポラック
ネタバレあり
法曹ものを得意とするジョン・グリシャムのベストセラーの映画化。1994年WOWOWで観て以来の28年ぶりの再鑑賞でござる。
ハーバード大出身の秀才トム・クルーズが、財務に強い南部メンフィスの法律事務所に就職して、妻ジーン・トリプルホーンと愛犬と主に移住し、幸福な気分を味わっている。先輩ジーン・ハックマンと出かけたケイマン諸島では良い仕事をして彼を感心させる。
が、ケイマンで先輩弁護士二人が謎の死を遂げるという事件が発生、謎の二人組(実はFBI捜査官、一人はエド・ハリス)に声を掛けられ、お宅の事務所に所属した弁護士の死亡率が高いとかまをかけられる。
不審に思って少々調べることになるが、同時にある顧客からお宅の経費請求は異常に高いと文句を言われる。
映画はこの二つを交錯させながら進むのだが、終わってみるとこの設定がなかなか上手く機能していると判るのだ。ケイマン諸島での行きずりの関係も布石として効いてい、ケイマン諸島にいつもの仕事に出たハックマンの滞在先から資料を拝借する際に、嫉妬を口実に同地に赴いた細君が夫君の代りに大活躍することになる。
少しお話を前に戻す。
FBIはマフィア逮捕の為に協力しろと服役中の兄デーヴィッド・ストラザーンの釈放絡みでクルーズを半ば脅迫し、事務所の警備関係者もケイマン諸島での行きずり写真をちらつかせFBIには協力するなよと脅しをかけてくる。
彼はどちらにも動きにくくなるが、兄の知り合いたる私立探偵の秘書ホリー・ハンターの絶大なる協力を得ることでその狭間を突き抜けるチャンスを伺う。
おおよそこんなお話で、サスペンスというジャンルに拘ると就職絡みの序盤に冗長に近い印象があるのは僕も否定しないものの、同様に否定的な意見の多い細君絡みの感情的な部分は最後まで見ると上述したようにうまく機能しているので、敢えて短くしたりバッサリ切ってしまうには及ばない。
FBIも事務所もクルーズの真意を掴めなかったことが判明する幕切れを含め大体において興味深く見られ、サスペンスが本格化してからは、中でも警備幹部とマフィアから逃れる部分のアクションを交えたサスペンスなど、これ以降のクルーズ映画を予感させるようなところがあって面白い。
恋愛感情を扱う作品が得意なシドニー・ポラックはやや畑違いだが、大きな問題はなし。
原作は「法律事務所」で日本に紹介されている。映画の正タイトルは「ザ・ファーム」で、「法律事務所」がサブタイトルなのだろう。原作が映画公開より先に紹介された場合この手の邦題の作り方がある。
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