映画評「きさらぎ駅」

☆★(3点/10点満点中)
2022年日本映画 監督・永江二朗
ネタバレあり

単なる持論で、さほど説得力があるとは思えないが、庶民の生活に視線を下降するような平凡な内容であれはあるほどその差が小さくとも似た作品と判じない可能性が高く、ジャンル映画など特殊性が高ければ高いほどその差が大きくないと既視感が強くなって良い評価に結び付きにくい。

本作は2チャンネルで実際に騒がれた都市伝説に基づいて作られたホラー映画とのこと。ホラー系都市伝説は最近では「犬鳴村」が扱ってい、本編最後クレジットに出た後に見られるようなSNSを使うホラー系実況はその続編「樹海村」に見られた。新味という点で弱い、ということを言いたいわけです。

とりあえずお話。

女子大学生の恒松祐里が民俗学の卒論のため、元教師の女性・佐藤江梨子に、失踪の7年後に突然舞い戻った事件の詳細を聞き始める。
 元教師は、電車に乗っているうちに異空間に入ってしまい、数名の男女しか見出せない沿線の村でその男女が次々と妙な消え方をする事件に遭遇、自分の教える高校の女子生徒・本田望結を助けるべく、きらめくドアに先に行かせた為に彼女は消え、自分は7年後に世界に戻ったのだ、と語る。
 祐里は普通の路線を移動するうちに異世界に入った原因を解明、それに沿って電車を次々乗り換えると予想通りに異世界に入り、全く同じ男女と遭遇。既に経緯を知っている為に彼らに色々と指図を与えるが、その為に「バタフライ・エフェクト」(2004年)よろしく男女の死ぬ順番が変わるなど様々の変化が起こる。

佐藤江梨子の体験談は全て一時期ホラー映画で大流行したPOV(これはコストを下げる効果もあり)で進められ、為に、良くも悪くも、僕の嫌いな“ゲームそのもの映画”という印象が生じる。しかし、このPOV即ち主観ショットの連続はいかにも貧しい絵面になるので、僕は全く買わない。主観ショットとはさみ(カット)は使いようということである。

彼女の話には言わぬが花の落ちがあるのだが、この落ちに関しても余り感心できない。

どんなお話でもホラー映画は、不条理性に埋没できれば怖さを感じることができるが、怖さの度合いで言えば上に挙げた廃村シリーズ2本の方が怖い。お暇なら見てよね、くらいの内容。

線路絡みの部分はここからさほど遠くない廃線で撮影されたらしい。最近僕の住む市内で撮影した作品を良く観る。数日前にそれに絡んで注力している人が新聞の群馬版に出ていました。

この記事へのコメント

2023年07月15日 06:45
気楽にたのしめるホラーでしたね。時間も短いし。ゲーム感覚も入ってるみたいで(自分はゲームやらないので適当な感想ですが)
こういうホラーは若手女優を観る映画というところがありますよね。
この映画に関しては「きさらぎ駅」という題はいいですよ。誰が言い出したんでしょうかね、きさらぎ駅。
都市伝説、映画の中で出てきたエレベーターの話とかいろいろあるんだなって。
オカピー
2023年07月15日 18:59
nesskoさん、こんにちは。

僕は、左脳人間・論理派なので、ホラー映画には厳しく評価しますが、☆の数やコメントの表現よりは楽しんでいるつもりです。

>こういうホラーは若手女優を観る映画というところがありますよね。

それは十分にありますね。

>都市伝説

学校の怪談が多い理由がこの間「チコちゃん」で説明されていたけど、もう忘れている。とほほ。