映画評「突撃隊」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1961年日本映画 監督ドン・シーゲル
ネタバレあり

2月にWOWOWがスティーヴ・マックィーンの小特集をする(全て保存済)らしいので、その前にマイ・ライブラリーに手を伸ばし、中学生の時以来観ていないこの戦争映画を再鑑賞することにした。

第二次大戦後半、フランス東部に駐留して間もなく帰国と兵隊が思っている部隊に、かつての曹長で無鉄砲な行動の為に兵卒に落とされたマックィーンが配属されるや、部隊は戦局厳しいジークフリート線に出陣することになる。小隊長の軍曹フェス・パーカーとは知人である。機械に詳しい伍長ジェームズ・コバーンやポーランド系兵卒らを加えた小隊は、後続部隊がやってくるまでドイツ軍の攻撃を釘付けする役目を負ってい、序盤のうちは小隊を大隊くらいに思わせる作戦を取る。
 が、パーカーが後続との連絡で不在の折、マックィーンが要塞のトーチカを攻撃する積極作戦を提唱、夜になって地雷原を匍匐して潜り抜けようとするが、彼が地雷を見落とした為にコバーンが死ぬ。
 後続と合流した後、面目ないマックィーンは、雨霰と飛ぶ銃弾をかいくぐってトーチカに接近して爆薬を投げ込む。が、爆薬を投げ返される。既に銃弾に射抜かれている彼は爆発寸前の爆薬を持ってトーチカに飛び込む。

アメリカにも特攻精神があるのかと妙な風に感心させられる幕切れだが、夜陰に乗じてトーチカを目指す場面以降のマックィーンの活躍、アクションに目を見張らされる。夜陰トーチカ攻撃作戦では地雷原を潜り抜けられるかというサスペンスで固唾を飲み、昼間の銃弾をかいくぐる場面での彼の動きの良さに瞠目する。

ドン・シーゲルが実に切れの良いアクション演出を見せる。序盤の人物紹介をする二つのシークエンスが些か冗長(これはシーゲルの責任ではない)だが、舞台が前線になってからは実にコンパクトに歯切れ良く展開してお見事。

小物を小隊内部で流通させている兵卒役の本業は歌手のボビー・ダーリンがなかなか面白い。タイプとしては若い頃のジョン・キューザックのような感じだ。

第二次大戦でも既に前線以外で一般市民が被害を受けることあったが、このミサイル時代にはどこにいても死ぬかもしれない。ウクライナ戦争はそれをよく教えてくれる。

この記事へのコメント

モカ
2023年02月01日 11:36
こんにちは。

昔の女の子はこういうのは大体観たしりから忘れていきますね。
マックイーンがヒーローだった団塊世代の元男の子達は未だに覚えてたりします。
村上春樹の「ノルウェーの森」で、寮で同室になるちょっと吃音で超真面目な彼が突撃隊と命名されていましたが、昔、ノルウェーを読んだ時「はっは〜ん、あの映画から思いついたな?」と思いましたよ。

モカ
2023年02月01日 13:36
追記

暇人はどうでもいい事ばっかり思い出しますが、一応書かせて下さいね。
さっきふと思い出したのですが、ノルウェーを読んだとき、最初は「突撃隊」からナチスを連想したのでした。突撃隊君は一途な感じの青年でしたのでね。
確か国土地理院?に入って地図を作るのが夢? 
だからいくら生真面目過ぎるといってもナチスにするのは如何なものかと思い映画のタイトルを思いついたのでした。

連合国側に突撃隊というタイトルをつける? 原題は何でしょう? (自分で調べんかい!)
オカピー
2023年02月01日 18:39
モカさん、こんにちは。

>マックイーンがヒーローだった団塊世代の元男の子達は未だに覚えてたりします。
>村上春樹の「ノルウェーの森」

そう繋がりましたか^^

>突撃隊君は一途な感じの青年でしたのでね。
>だからいくら生真面目過ぎるといってもナチスにするのは如何なものか
>連合国側に突撃隊というタイトルをつける?

全体主義を経験して来た日本人の付けそうな題名かもしれませんね。
僕はそもそも「ノルウェイの森」を読んでこの映画を思い出しませんでしたよ。

>原題は何でしょう?

Hell Is for Heroes.
直訳すれば、【地獄は英雄向き】といったところでしょうが、映画的に訳せば【地獄に堕ちた英雄たち】(ヴィスコンティ映画邦題のパクリ)。
蟷螂の斧
2023年02月28日 19:44
こんばんは。子供の頃、テレビでこの作品を見ました。「荒野の七人」をテレビで見て、マックィーンやコバーンがカッコいいと思っていた頃です。ラーキン軍曹が死ぬ場面を覚えています。演じたハリー・ガーディノはその後、『ダーティハリー』シリーズの主人公ハリー・キャラハン刑事の上司、アル・ブレスラー警部補役になったんですね。その後随分年月が流れてこの作品を見て感慨深いものがありました。

>面倒臭いことも確かに減りました。しかし、マイナス面もありますね。

自分たちの町を守る気持ちがなくなる。犯罪も増えるかも知れません。自治と言う概念がなくなるのは怖いです。

>利己主義と混同する向きもありますが、これも全然違います。

個人主義よりも利己主義が増えています。

>中国が仲介役を買って出ようとしています

中国がロシアに武器を提供するようになると恐ろしいです!
オカピー
2023年03月01日 22:03
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>子供の頃、テレビでこの作品を見ました。

よく放映された作品ですが、初放映は僕が中学生か高校生だったか。
余り綺麗ではない画面で観ました。
今の若い人は、地上波でもゴーストなるものを知らんのでしょうねえ。

>その後随分年月が流れてこの作品を見て感慨深いものがありました。

最近は昔のことを思い出して、よく泣きます(笑)

>ハリー・ガーディノ

「ダーティハリー」で名前を憶えました。
「突撃隊」と「ダーティハリー」を見たタイミングはさほど離れていませんが、多分1972年頃「スクリーン」で憶えたのでしょう。

>中国がロシアに武器を提供するようになると恐ろしいです!

西側がウクライナにやるようなレベルにはならない(中国も自らを犠牲にするほどロシアを思う理由がない)と思いますが、ちょっとした提供はもう始まっているかもしれません。