映画評「ザ・ロストシティ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2022年アメリカ映画 監督アーロン・ニー、アダム・ニー
ネタバレあり

ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」(1984年)を現代風に換骨奪胎したような冒険映画である。
 最近はこういうメジャーの正統派冒険映画がありそうで案外なかったので、作品の傾向としては大歓迎である。但し、出来は凡作止まりで、傑作とまでは言えないにしてもなかなか上手く作られていた「ロマンシング・ストーン」に大分遠い。

考古学に精通する閨秀冒険小説家サンドラ・ブロックが、大西洋の孤島にある遺構の財宝を狙う、大富豪の出来の悪い長男ダニエル・ラドクリフの一味に誘拐され、孤島に連行される。
 これを小説の表紙に使われた男性モデルのチャニング・テイタムが追いかけ、奪還を試みるが、筋骨逞しい見かけとは裏腹に全くへなちょこ。彼は、作家の広報担当ダヴァイン・ジョイ・ランドルフが事前に依頼した助っ人ブラッド・ピットと島で合流する。
 ピットはなるほど強いが、油断した隙に銃撃に倒れ、以降サンドラと二人とで敵の一味の攻撃をかわす珍道中となる。

危機また危機のサスペンスと言いたいところだが、二人を探すダヴァインの動向が挿入され勢いが殺がれるところが多い。登場人物の駄弁にも退屈させられる。

その間にテイタムも段々色々と自覚が出来てしっかりし、そんな彼にサンドラもまんざらではなくなるというのがロマンス部分の要素だが、40年弱の間にアメリカのメジャー映画は大分お下品になり、「ロマンシング・ストーン」の洒落っ気に打って変わった。
 げんなりと言うべきも、再度繰り返すが、メジャー映画の冒険映画は歓迎したい。但し、もっと上手に作って下さい。

女性のロマン(冒険 and / or ロマンス)作家という設定に触れると思い出すハーレクイン・ロマンス。かつて流行ったが、どんなもんなんじゃろ?

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