映画評「355」

☆☆★(5点/10点満点中)
2022年アメリカ=中国合作映画 監督サイモン・キンバーグ
ネタバレあり

新映画版の「チャーリーズ・エンジェル」と「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」を併せればおよそこんな作品になる。

コロンビアで、世界のネットを中断することで第三次大戦を起こし勝利ももたらすことができると言われるデジタル・デバイスを悪の一味が奪おうとし、そこへ官憲が現れる。
 撃ち合いに生き残り現場からそれを盗んだ一人の官憲から取引を持ち込まれたCIAの工作員セバスチャン・スタンと女性の相棒ジェシカ・チャステインと夫婦に偽装してパリに赴くが、交渉中にウェイトレスに成りすました女性ダイアン・クルーガーも横取りされる。
 ジェシカは激しい追跡劇の末に取り逃がし、しかもスタンは死んだと上官に聞かされる。ダイアンは実はドイツの情報機関BNDの工作員で、同じ目的で追っていたことを知り、二人は共闘することにする。
 これにITに精通するMI6の女工作員ルピタ・ニョンゴ、コロンビアのNPOに協力する精神科医ペネロペ・クルス、中国のオークションを仕切る女性実は情報部員ファン・ビンビンも加わり、デバイスを奪おうとする一味と対峙することになる。

この一味にスタンが絡んでいるという意外な事実が判明するも、意外なのはヒロインにだけなので面白味にならない。

5人もの女性エージェント(+もどき)が一同に集まるのは豪勢で悪くないし、演じる女優も大物ばかりだが、お話が型通りで大して捻りもない為、5人もの女性陣が悪党男性を向うに回して闘うという構図だけが目立ち、作者が隠し味とした筈のフェミニズム(メッセージ)が露骨に感じられてしまうのが有難くない。

製作が本業のサイモン・キンバーグ監督はアクションになるとカメラを揺らす。揺らし方は他の映画と少し違う感じがするが、いずれにしても動くものを動かして捉えるという手法は見づらいだけで一利なしである。カメラを揺らすのは、元来観客の錯覚(ドキュメンタリーっぽい⇒本物らしい)を利用した馬鹿げたアイデアであり、それに拘るのはもはや古臭い。最初からハンディカメラを使っているなら構いませんがね。

355はスリー・ファイブ・ファイブと読むらしい。

この記事へのコメント

モカ
2023年03月20日 16:58
こんにちは。

>355はスリー・ファイブ・ファイブと読むらしい

どうでもいい話ですが、うちの夫が妻より愛している(車のナンバーを335 にしとります)ギター GIBSON ES 335 は日本のギター小僧の間では「さん さん ご」と呼ばれていますね。
英語では「スリー スリー ファイブ」とか 「ダブル スリー ファイブ」とか呼ばれているらしいです。

 
オカピー
2023年03月21日 07:04
モカさん、こんにちは。

>うちの夫が妻より愛している(車のナンバーを335 にしとります)ギター
>GIBSON ES 335 は日本のギター小僧の間では「さん さん ご」と呼ばれていますね。

おおっ、こういう映画と関係のないネタは楽しいですね。
旦那さんは、ギター小僧でしたか(笑)
不器用な僕は、早々にギターには挫折しました_| ̄|○
でも、インストルメントではないレコードでも、歌ではなく、楽器で聴く習慣は残っています。特にベースですけど。