映画評「学校の怪談」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1995年日本映画 監督・平山秀幸
ネタバレあり

つい先日観た「ゴーストブック おばけずかん」は、本作の影響下にある作品ではないかと、四半世紀ぶりに再鑑賞して思わされた。かの作品は原作ものではあるが、かなりの確率で監督の山崎貴は意識している。撮影監督が同じ柴崎幸三。誰がお呼びしたのでしょう? 

こちらは小学校が舞台で、出入り禁止の旧校舎に入った小学校2年生から5年生の5人が、後に教師の野村宏伸を加えて、襲い掛かって来る幽霊というより「エルム街の悪夢」辺りに出て来そうな不気味な怪物たちからひたすら逃げる。
 5年生の女子・遠山香織は2年生の妹・米倉史織ちゃんを探しに旧校舎に入るのだが、一度入ると容易に外には出られない。一度彼女が出たせいで野村先生も中に入ることになる。
 彼らがうろちょろするうち6年生の女子・岡本綾が突然現れるが、この彼女が「ゴーストブック」の吉村文香ちゃんに相当する。そう、彼女は闘病中で、生霊だったということが判明するのだ。だから、敢えて逃げる子供たちの人数から外した次第。
 校舎内に妖怪が跋扈するようになるのは、長年映画を見て来た映画ファンにはすぐに、壊された埴輪が原因とピンと来る。

「ゴーストブック」同様、怖さよりは冒険ファンタジーの趣きで、その冒険を通して、仲の悪い生徒同士に友情めいたものが芽生えて来る辺りは定石通りとは言え、上手く扱われ後味が良い。

怪物・妖怪の造形は多種多彩で、都市伝説の口裂け女も出て来る。騒動が専ら学校に限定される設定はこれより4年前の「ヒルコ 妖怪ハンター」に似ている。

監督は僕が信頼する平山秀幸。やはり巧いです。おかげでヒットして第4作まで作られた(そのうち3作を平山監督が担当)。

学校の怪談より、学校の階段のほうが良いです。

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