映画評「誇り高き男」
☆☆★(5点/10点満点中)
1956年アメリカ映画 監督ロバート・E・ウェッブ
ネタバレあり
僕が映画ファンになった1970年頃には「誇り高き男」の主題曲はスタンダードになっていたので、題名は良く知られていた。印象深い主題曲だけに、作品自体にも大いに期待したのだが、中学生の時に初めてTVで観た時余り面白くないのでがっかりしたのを思い出す。それ以来50年ぶりの再鑑賞。
カンザス州の小さな町で保安官を務めるロバート・ライアンは、鉄道敷設に伴ってやって来てサルーンを作った実業家ロバート・ミドルトンと因縁があり、お互いに何とかしようと思っている。そこへやはりライアンを丸腰の父を殺したと恨む若者ジェフリー・ハンターがやって来る。しかし、その真相はミドルトンの殺し屋だった父親を正当防衛で殺したに過ぎないのだ。
少しずつ誤解を解きつつあるハンターをライアンが保安官助手にし、銃撃について指導をする。先年観た「星のない男」(1955年)に似た設定で、この手は「怒りの荒野」(1967年)を筆頭にするマカロニ・ウェスタンが取り上げているので、後半に限れば、案外若い人にも行けるかもしれない。
ライアンはミドルトンの丸腰の殺し屋を殺す。これを見たハンターは再びライアンを疑うが、殺し屋がやはり丸腰ではなかったことをライアンは示す。
僕が少し疑問なのは、その場で示さずに、ミドルトンのサルーンの中で小さな拳銃を見せて証明することである。サルーンに行く前に強引に止めて現場で若者自身に確認させるほうが犯罪映画的にはぐっと説得力があり、自然である。
二人は結局、老保安官助手ウォルター・ブレナンを殺して逃げたミドルトン一味を一致協力して倒す。ライアンが恋人ヴァージニア・メイヨと町を去った後、ハンターは丸腰と思われたミドルトンを後ろから撃つ。彼は、相手がこっそり持っていたピストルの撃鉄を起こす音を聞いたのである。
「真昼の決闘」(1952年)にも似て、ヴァージニアの懇願も無視して町に残って悪党と対峙するという設定があるが、本作ではハンターという味方がいるので、そこまで切迫感はない。
頭を銃弾がかすめた後遺症で時々目の焦点が合わなくなるライアンが、音を頼りに二人仕留めるというのはそれなりに面白い。つまり、彼が耳が良く、ハンターの父親を殺した時の判断材料も撃鉄を起こす音であったという点において、一貫性があるわけである。
しかし、内容が当時の主流西部劇の標準的内容であり、かつ、ロバート・E・ウェッブの展開ぶりがとりわけ前半に於て鈍重なので、やはり余り良い☆★は進呈しかねます。
埃叩きたい男。誰のこっちゃ。
1956年アメリカ映画 監督ロバート・E・ウェッブ
ネタバレあり
僕が映画ファンになった1970年頃には「誇り高き男」の主題曲はスタンダードになっていたので、題名は良く知られていた。印象深い主題曲だけに、作品自体にも大いに期待したのだが、中学生の時に初めてTVで観た時余り面白くないのでがっかりしたのを思い出す。それ以来50年ぶりの再鑑賞。
カンザス州の小さな町で保安官を務めるロバート・ライアンは、鉄道敷設に伴ってやって来てサルーンを作った実業家ロバート・ミドルトンと因縁があり、お互いに何とかしようと思っている。そこへやはりライアンを丸腰の父を殺したと恨む若者ジェフリー・ハンターがやって来る。しかし、その真相はミドルトンの殺し屋だった父親を正当防衛で殺したに過ぎないのだ。
少しずつ誤解を解きつつあるハンターをライアンが保安官助手にし、銃撃について指導をする。先年観た「星のない男」(1955年)に似た設定で、この手は「怒りの荒野」(1967年)を筆頭にするマカロニ・ウェスタンが取り上げているので、後半に限れば、案外若い人にも行けるかもしれない。
ライアンはミドルトンの丸腰の殺し屋を殺す。これを見たハンターは再びライアンを疑うが、殺し屋がやはり丸腰ではなかったことをライアンは示す。
僕が少し疑問なのは、その場で示さずに、ミドルトンのサルーンの中で小さな拳銃を見せて証明することである。サルーンに行く前に強引に止めて現場で若者自身に確認させるほうが犯罪映画的にはぐっと説得力があり、自然である。
二人は結局、老保安官助手ウォルター・ブレナンを殺して逃げたミドルトン一味を一致協力して倒す。ライアンが恋人ヴァージニア・メイヨと町を去った後、ハンターは丸腰と思われたミドルトンを後ろから撃つ。彼は、相手がこっそり持っていたピストルの撃鉄を起こす音を聞いたのである。
「真昼の決闘」(1952年)にも似て、ヴァージニアの懇願も無視して町に残って悪党と対峙するという設定があるが、本作ではハンターという味方がいるので、そこまで切迫感はない。
頭を銃弾がかすめた後遺症で時々目の焦点が合わなくなるライアンが、音を頼りに二人仕留めるというのはそれなりに面白い。つまり、彼が耳が良く、ハンターの父親を殺した時の判断材料も撃鉄を起こす音であったという点において、一貫性があるわけである。
しかし、内容が当時の主流西部劇の標準的内容であり、かつ、ロバート・E・ウェッブの展開ぶりがとりわけ前半に於て鈍重なので、やはり余り良い☆★は進呈しかねます。
埃叩きたい男。誰のこっちゃ。
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