映画評「イントロダクション」
☆☆★(5点/10点満点中)
2021年韓国映画 監督ホン・サンス
ネタバレあり
「アバンチュールはパリで」という作品ではエリック・ロメールみたいだと興味深く見たホン・サンスは、「夜の浜辺でひとり」では一人合点に失望し、「逃げた女」も似たり寄ったりだった。
かつてのイタリア映画みたいな変なズームにも感心しない監督だが、その点に関してモノクロで見せた本作は良くなった。大衆映画ではないので、振幅で勝負したがる韓国映画の悪い癖が出ないのも良い。
「夜の浜辺でひとり」と共通する要素が幾つもあるが、今度の主人公は男性である。
恋人パク・ミソと現れた青年シン・ソクホは鍼灸師の父親に呼ばれて会いに来るが、その父親は有名舞台俳優キ・ジュポンの施術に忙しくてなかなか会えない。代わりに受け付けの中年女性イェ・ジウォンとハグをする。
ここが章が変わって、ミソちゃんはドイツに留学して、その初日、彼女が寄寓する女性画家キム・ミニの知り合いである母親ソ・ヨンファと話をしている。そこへ彼女を追ってシン君がやって来る。二人はやはりハグをする。
三章めは、数年後の韓国。俳優志願だったシン君が母親チョ・ユニの待つ食堂に入っていく。母は俳優をやめようかと迷っている息子を先の有名俳優キに会わせて解決を図るつもりなのだ。大俳優は、嘘のキスをするのは恋人に悪いから俳優を止めるのだと言う若者を叱り飛ばす。
最後に会話が一種の演技論になったり、最後の場面が夢が絡む浜辺なのも「夜の浜辺でひとり」に似ている。
若者のモラトリアムを描いた内容と言って間違いないが、映画の作り方としては反復を利用して映画言語を構成している。第3章でも、冷え切ったシン君を友人が温めようと軽くハグする。ハグによって色々と忸怩たる思いを懐く彼は癒されるのだ。煙草を吸うショットも多いし、有名人の苦労話も二回ほど出て来る。
しかし、「夜の浜辺をひとり」より後発のこちらのほうが習作のような感じがするのは何としたことか。但し、こちらのほうがぐっと解りやすい。
僅かではありますが、依然ロメールやウッディー・アレンの香りがします。
2021年韓国映画 監督ホン・サンス
ネタバレあり
「アバンチュールはパリで」という作品ではエリック・ロメールみたいだと興味深く見たホン・サンスは、「夜の浜辺でひとり」では一人合点に失望し、「逃げた女」も似たり寄ったりだった。
かつてのイタリア映画みたいな変なズームにも感心しない監督だが、その点に関してモノクロで見せた本作は良くなった。大衆映画ではないので、振幅で勝負したがる韓国映画の悪い癖が出ないのも良い。
「夜の浜辺でひとり」と共通する要素が幾つもあるが、今度の主人公は男性である。
恋人パク・ミソと現れた青年シン・ソクホは鍼灸師の父親に呼ばれて会いに来るが、その父親は有名舞台俳優キ・ジュポンの施術に忙しくてなかなか会えない。代わりに受け付けの中年女性イェ・ジウォンとハグをする。
ここが章が変わって、ミソちゃんはドイツに留学して、その初日、彼女が寄寓する女性画家キム・ミニの知り合いである母親ソ・ヨンファと話をしている。そこへ彼女を追ってシン君がやって来る。二人はやはりハグをする。
三章めは、数年後の韓国。俳優志願だったシン君が母親チョ・ユニの待つ食堂に入っていく。母は俳優をやめようかと迷っている息子を先の有名俳優キに会わせて解決を図るつもりなのだ。大俳優は、嘘のキスをするのは恋人に悪いから俳優を止めるのだと言う若者を叱り飛ばす。
最後に会話が一種の演技論になったり、最後の場面が夢が絡む浜辺なのも「夜の浜辺でひとり」に似ている。
若者のモラトリアムを描いた内容と言って間違いないが、映画の作り方としては反復を利用して映画言語を構成している。第3章でも、冷え切ったシン君を友人が温めようと軽くハグする。ハグによって色々と忸怩たる思いを懐く彼は癒されるのだ。煙草を吸うショットも多いし、有名人の苦労話も二回ほど出て来る。
しかし、「夜の浜辺をひとり」より後発のこちらのほうが習作のような感じがするのは何としたことか。但し、こちらのほうがぐっと解りやすい。
僅かではありますが、依然ロメールやウッディー・アレンの香りがします。
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