映画評「ミラクル・ニール!」

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年イギリス映画 監督テリー・ジョーンズ
ネタバレあり

テリー・ジョーンズ監督のSFコメディー。

宇宙の彼方で地球を壊滅させるかどうかを有力エイリアンたちが議論している。彼らは無作為に選んだ、英国でしがない小学教師をしているサイモン・ペッグの行動により判断しようと彼に全能を授け、10日間の考慮期間を設ける。
 ある日突然、手を振って願い事をすると実現することに気付いた彼は、くだらないことを願っては前言撤回というパターンを繰り返す。小説家志望の彼は階下のBBC職員の美女ケイト・ベッキンセイルに惚れているか、願いにより口が聞けるようになった愛犬デニス(声:ロビン・ウィリアムズ)のせいで上手く行かず、彼女を強権で口説こうとしているアメリカ軍人ロブ・グリルの為にひどい目に遭うが、結局全能の力を使って世界平和に貢献しようとする。

人間風刺コメディーとして “人間はろくなことを考えない” と断ずる一方、宇宙人の善悪観が地球人と全く違う為(観客の予想とは反対に)彼が善行をした結果地球が壊滅寸前のところにまで行くというシニカルな落ちがなかなか面白い。

お笑いは、同僚のインド人教師が崇拝者に追いかけ回される一幕など、趣味の良くないものが多いが、それでも余り憎めない。

政府や与党(そして大半の野党)が頻りに安全保障環境が変わったと言うが、日本に直接的に戦争を仕掛けたいと思っている国は今のところ一つもない。その意味では大して変わっていない。ロシアはウクライナで日本どころではなく、北朝鮮の関心はアメリカと韓国をどうするかということだけ。中国も台湾をどうにか併合したいだけで、これに関し中国にとって直接的には日本はどうでも良い。しかし、日本が戦争に巻き込まれる可能性は確かに昔よりは増えた。日本に米軍基地があるので、本格的な戦争が起きた場合どうしても日本は戦争の現場になる。日本が攻撃されたらアメリカは援護するかというのは愚問で、中国(や北朝鮮)が行動を起こす時初期の段階で沖縄の米軍基地を叩くはず。即ち日本にあるアメリカが攻撃された以上、米国はまず自国の為に闘うのだ。

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