映画評「破局」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1950年アメリカ映画 監督マイケル・カーティス
ネタバレあり
アーネスト・ヘミングウェイの長編小説「持つと持たぬと」の再映画化で、ハワード・ホークス監督「脱出」(1944年)のリメイク。
「脱出」が、奇しくも本作同様マイケル・カーティスが監督した「カサブランカ」(1942年)の作り直しみたいな感じでヘミングウェイの名前を出すのもおこがましいくらいであったことを考えると、こちらのほうがヘミングウェイの香りが高い。
農園地帯に出自を持つ妻フィリス・サクスターの願いに反して、農業ではなく漁業を選んだジョン・ガーフィールドは、生活に苦しく、船を使った中国人のメキシコへの密入国に手を貸しかける。
密入国ブローカーの中国人を殺したことを意識せざるを得ない彼は、再度ウォーレス・フォードに持ち込まれた競馬場強盗グループの高飛びに手を貸すことにするが、細君は自分達家族(二人の娘あり)の為と知りながら、無謀な計画に加わることを知って彼に愛想を尽かす。
船に乗せる前に黒人の相棒を殺された彼は、連中が気に入らず、船の不調と見せかけて船に隠していた銃を使った連中を仕留めていく。
犯罪映画的なところが余り大したことはない代わりに、夫婦の愛情や生活を扱ったところが人情劇としてなかなか繊細で相当気分を出している。その描出の為に彼の船の乗客として知り合う形で色っぽいパトリシア・ニールがお話に絡んでくるわけで、細君は黒っぽい髪(モノクロ映画なので正確な色は解らない)を金髪に染めたりもする。
実は細君一途(彼女も本音はそう)の主人公は、細君に愛想を尽かされたと思い込み、放っておけば死んでしまうにも拘らず、投げやりになって(死にたいと思い)船から降りようとしない。うなされていた彼がやがて覚醒して細君が来たことを知って変心し、船から降り(片腕を切断す)ることを承知する。
この船内での僅か数分間のエピソードに僕は胸を打たれた。
不甲斐なさを自覚してどんどんドツボに嵌っていく男をジョン・ガーフィールドが好演、糟糠の妻を演ずるフィリス・サクスターも、二人を照らす男好きのする美女を演じたパトリシア・ニールも存在感あり。
「ミラクル・ニール!」の後はパトリシア・ニールと行きたかったが、一日ずれた。
1950年アメリカ映画 監督マイケル・カーティス
ネタバレあり
アーネスト・ヘミングウェイの長編小説「持つと持たぬと」の再映画化で、ハワード・ホークス監督「脱出」(1944年)のリメイク。
「脱出」が、奇しくも本作同様マイケル・カーティスが監督した「カサブランカ」(1942年)の作り直しみたいな感じでヘミングウェイの名前を出すのもおこがましいくらいであったことを考えると、こちらのほうがヘミングウェイの香りが高い。
農園地帯に出自を持つ妻フィリス・サクスターの願いに反して、農業ではなく漁業を選んだジョン・ガーフィールドは、生活に苦しく、船を使った中国人のメキシコへの密入国に手を貸しかける。
密入国ブローカーの中国人を殺したことを意識せざるを得ない彼は、再度ウォーレス・フォードに持ち込まれた競馬場強盗グループの高飛びに手を貸すことにするが、細君は自分達家族(二人の娘あり)の為と知りながら、無謀な計画に加わることを知って彼に愛想を尽かす。
船に乗せる前に黒人の相棒を殺された彼は、連中が気に入らず、船の不調と見せかけて船に隠していた銃を使った連中を仕留めていく。
犯罪映画的なところが余り大したことはない代わりに、夫婦の愛情や生活を扱ったところが人情劇としてなかなか繊細で相当気分を出している。その描出の為に彼の船の乗客として知り合う形で色っぽいパトリシア・ニールがお話に絡んでくるわけで、細君は黒っぽい髪(モノクロ映画なので正確な色は解らない)を金髪に染めたりもする。
実は細君一途(彼女も本音はそう)の主人公は、細君に愛想を尽かされたと思い込み、放っておけば死んでしまうにも拘らず、投げやりになって(死にたいと思い)船から降りようとしない。うなされていた彼がやがて覚醒して細君が来たことを知って変心し、船から降り(片腕を切断す)ることを承知する。
この船内での僅か数分間のエピソードに僕は胸を打たれた。
不甲斐なさを自覚してどんどんドツボに嵌っていく男をジョン・ガーフィールドが好演、糟糠の妻を演ずるフィリス・サクスターも、二人を照らす男好きのする美女を演じたパトリシア・ニールも存在感あり。
「ミラクル・ニール!」の後はパトリシア・ニールと行きたかったが、一日ずれた。
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