映画評「かりそめの幸福」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1934年フランス映画 監督マルセル・レルビエ
ネタバレあり
観たことがないと思ってプライム・ビデオで観る。鑑賞後 IMDb を訪れたら投票済みでした。観たことすら憶えていないのだから、初鑑賞も同然で、一種の恋愛心理映画として結構楽しんだ。
人気女優クララ・スチュアート(ギャビー・モルレー)がアメリカから帰国すると、パリは大騒ぎになる。
この社会現象の風刺漫画を頼まれたアナーキスト青年フィリップ(シャルル・ボワイエ)は、しかし、大騒動で碌に絵も描けない。後日売り子ルイーズ(ポーレット・デュボスト)と親しくなり、二人でクララを見にミュージック・ホールへ出かける。
ショーが終わり、彼女が貴族の夫(ジャック・カトラン)と帰宅する為に車に乗った時発砲される。警察の発表では犯人はフィリップで、裁判では被告としてアナーキストらしいよく解らぬ理屈をこねて証言する。
公判で彼を何度も見るに及び気持ちが揺らいだ彼女が軽い罰で済むよう願った為に殺人未遂としては軽い1年半の懲役刑で済んだ彼は、模範囚故に1年後に出所、互いに熱烈な愛情を持っていると確信して、夫への愛が覚めて別居中のクララと同棲を始める。
しかし、彼は未だに諦めきれずにうろつく夫と相まみえると、長く続くとも思えない幸福が終わる前に自ら去っていく。後日、自分の伝記と思われるような映画に主演するクララを見て、フィリップは涙を浮かべる。
恋愛心理映画の面白さを象徴するのが、87分くらいの“アナーキストが犯罪を計画して、恋する男が(相手を独占したくて)実行した”というフィリップの台詞である。この映画の面白味はこの彼の心理に尽きる。映画に主演することがあり、その時に自分を思い出すようなら、頭に描いて演技をしてくれ、とヒロインに頼む終盤のシーンも泣かせる。
アナーキストは大概テロリストでもあるが、このフィリップなる青年は何とも繊細にして頭の良い男ではないか。ボワイエとしては比較的珍しいタイプの役と思うが、好演。
映画や小説の中にしかいないようなキャラクターではありますけどね。
1934年フランス映画 監督マルセル・レルビエ
ネタバレあり
観たことがないと思ってプライム・ビデオで観る。鑑賞後 IMDb を訪れたら投票済みでした。観たことすら憶えていないのだから、初鑑賞も同然で、一種の恋愛心理映画として結構楽しんだ。
人気女優クララ・スチュアート(ギャビー・モルレー)がアメリカから帰国すると、パリは大騒ぎになる。
この社会現象の風刺漫画を頼まれたアナーキスト青年フィリップ(シャルル・ボワイエ)は、しかし、大騒動で碌に絵も描けない。後日売り子ルイーズ(ポーレット・デュボスト)と親しくなり、二人でクララを見にミュージック・ホールへ出かける。
ショーが終わり、彼女が貴族の夫(ジャック・カトラン)と帰宅する為に車に乗った時発砲される。警察の発表では犯人はフィリップで、裁判では被告としてアナーキストらしいよく解らぬ理屈をこねて証言する。
公判で彼を何度も見るに及び気持ちが揺らいだ彼女が軽い罰で済むよう願った為に殺人未遂としては軽い1年半の懲役刑で済んだ彼は、模範囚故に1年後に出所、互いに熱烈な愛情を持っていると確信して、夫への愛が覚めて別居中のクララと同棲を始める。
しかし、彼は未だに諦めきれずにうろつく夫と相まみえると、長く続くとも思えない幸福が終わる前に自ら去っていく。後日、自分の伝記と思われるような映画に主演するクララを見て、フィリップは涙を浮かべる。
恋愛心理映画の面白さを象徴するのが、87分くらいの“アナーキストが犯罪を計画して、恋する男が(相手を独占したくて)実行した”というフィリップの台詞である。この映画の面白味はこの彼の心理に尽きる。映画に主演することがあり、その時に自分を思い出すようなら、頭に描いて演技をしてくれ、とヒロインに頼む終盤のシーンも泣かせる。
アナーキストは大概テロリストでもあるが、このフィリップなる青年は何とも繊細にして頭の良い男ではないか。ボワイエとしては比較的珍しいタイプの役と思うが、好演。
映画や小説の中にしかいないようなキャラクターではありますけどね。
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