映画評「グッバイ、ドン・グリーズ!」

☆☆★(5点/10点満点中)
2022年日本映画 監督いしづかあつこ
重要なネタバレあり。未見の方は要注意。

先日の「神在月のこども」よりターゲットの年齢層は上、主人公たちと同じ世代つまり中学生から高校生くらいだろう。

高校一年になったばかりのロウマ(声:花江夏樹)が、夏休みで帰省した親友トト(声:梶裕貴)、そして突然自分達に加わった同学年らしいアイスランドからの帰国子女たる少年ドロップ(声:村瀬歩)と共に、自分達のあげる花火をドローンで撮ろうとするが、花火はしけていて碌に発火せず、ドローンは森の中に行方不明になる。
 ところが、その直後に山火事が起こり、彼らを仲間外れにする連中から山火事の犯人とされる。ドローンに冤罪を晴らす証拠があるだろうと、翌日三人は山の中に入って捜索開始、捜査中の警察や消防隊や熊にまで遭遇して大変な苦労をした末に、漸くドローンを発見するが、証拠になりそうなものは映っていない。しかし、彼らはその過程があったからこそ冒険をした意義があることに気付く。
 二学期が始まり、ロウマは冒険中に暗示されたようにドロップが死んだことをトトから知らされ、慟哭する。ロウマはトトと合流すると、ドロップが以前の場所で二人に “宝” の在り処を教える地図をコーラのラベルに残したことに気付く。そこはドロップのいたアイスランドで、受けた人は自分の宝を知ることができるという山中にある電話ボックス。ドロップは以前二人が間違って送った電話から結果的に励ましとなる言葉を受け取ったのだ。つまり、宝とは大切な言葉(そしてそれを思わず放った二人への友情)だったのだ。
 そして、星を見上げて自分達の小ささに絶望した彼らは、アイスランドの高地に立ち、逆に世界を見下ろすことのできる高みにいることに気付く。

通奏低音は”高低”または”落下”。

最後まで観るときちんと繋がるお話になっているが、映画サイトで仰る人がいるように、ほぼ不要な情報を知らせ必要な情報を示さないところが多い為、シーンが巧く繋がっていないように感じられたり、字余り字足らずという印象を受けるところが多い。
 例えば、ドロップが死んだことは、トトのモノローグで突然出すのではなく、トトと同時に観客に直接的に知らせるべきだったと思う。その他この類が少なくない。結果的に映画と観客のリズムが合わない。IMDbの評価はそこそこなので、そう思わなかった人が多いのかもしれぬが、多分最終的に浮かび上がる若者が喜びそうなメッセージが受けたのではないかと想像されもする。

左脳人間に大いに気になるのは、あの電話は誰がかけたのか、ということ。二人はアイルランドにかけたつもりが間違えてアイスランドのあの山中の公衆電話にかけ(てドロップが聞い)たわけだが、公衆電話にかかる間違い電話などまずないだろうから、偶然だとしたらさすがに出来すぎだ。
 病人のドロップが元気すぎると言うのは、野暮だろう。

山地のお話なので、団栗(どんぐり)ズのことと思っていたら、 本当は、 Don't glee (s) なのだった。登場人物が言うように、glee は名詞しかないので、文法的には全く間違っているのだが。

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