映画評「夢野久作の少女地獄」
☆☆(4点/10点満点中)
1977年日本映画 監督・小沼勝
ネタバレあり
日本で三代奇書と言われる「ドグラ・マグラ」を書いた夢野久作の「少女地獄」の後半 “火星の女” を小沼勝監督が映画化した怪作。広い意味でホラーであるが、恐怖劇というよりは怪奇劇と言うべし。
キリスト教系お嬢様学校が舞台。
森栖校長(桑山正一)は人格者と目されながら、目を付けた女生徒を襲い掛かる悪癖があり、運動部の歌江(小川亜沙美)を襲う。彼女のエス=シスターフッド=的親友アイ子(飛鳥裕子)は非常に嘆くが、その彼女自身も実は森栖が当時の生徒とめ子(岸本まき子)をはらませた結果生まれた娘で、校長が腹が目立つ前に名門の殿宮(江角英明)と娶せたという経緯がある。殿宮もその為に人格を歪ませる。
歌江は自らの身体を痛めつけて流産するが、やがて謎の校舎一部の火事で焼け出された焼死体は彼女のものとされる。
その後、森栖と関係の深い英語教師(絵沢萌子)と書記(三谷昇)が謎の死を遂げる。
やがて、明らかにされた醜聞により逃走した森栖の前に、アイ子と実は死んでいなかった歌江が現れ、自らの衣服に火を点ける。森栖がこれを見て狂乱するのを見た二人は満足して焼け死んでいく。
前半の布石部分も、幻想的な画面や小津安二郎のようなロー・ポジションのカメラなどがあって映画的にそれなりに面白いが、後半、物語自体は夢野久作らしいグロテスクな展開になって来て俄然面白くなる。
かかるうちに、校長側に女性教師がいるものの、男性陣が尽く賤しい人間に描かれ、女性VS男性の構図が浮かび上がって来る。
先日の「らしゃめんお万 彼岸花は散った」がそうであったように、どうも当時の日活ロマン・ポルノには、フェミニズムとは行かないまでも、男性を低く見る構図を重視する作品群があったようだ。ポルノという形で女性を搾取するようにも見える商売に従事することの言い訳みたいなものだったのだろうか?
飛鳥裕子と小川亜沙美の二人が僕の好みから外れるのも、個人的に弱い。
低予算映画が多そうなロマン・ポルノにあってはお金がかかっている感じ。
1977年日本映画 監督・小沼勝
ネタバレあり
日本で三代奇書と言われる「ドグラ・マグラ」を書いた夢野久作の「少女地獄」の後半 “火星の女” を小沼勝監督が映画化した怪作。広い意味でホラーであるが、恐怖劇というよりは怪奇劇と言うべし。
キリスト教系お嬢様学校が舞台。
森栖校長(桑山正一)は人格者と目されながら、目を付けた女生徒を襲い掛かる悪癖があり、運動部の歌江(小川亜沙美)を襲う。彼女のエス=シスターフッド=的親友アイ子(飛鳥裕子)は非常に嘆くが、その彼女自身も実は森栖が当時の生徒とめ子(岸本まき子)をはらませた結果生まれた娘で、校長が腹が目立つ前に名門の殿宮(江角英明)と娶せたという経緯がある。殿宮もその為に人格を歪ませる。
歌江は自らの身体を痛めつけて流産するが、やがて謎の校舎一部の火事で焼け出された焼死体は彼女のものとされる。
その後、森栖と関係の深い英語教師(絵沢萌子)と書記(三谷昇)が謎の死を遂げる。
やがて、明らかにされた醜聞により逃走した森栖の前に、アイ子と実は死んでいなかった歌江が現れ、自らの衣服に火を点ける。森栖がこれを見て狂乱するのを見た二人は満足して焼け死んでいく。
前半の布石部分も、幻想的な画面や小津安二郎のようなロー・ポジションのカメラなどがあって映画的にそれなりに面白いが、後半、物語自体は夢野久作らしいグロテスクな展開になって来て俄然面白くなる。
かかるうちに、校長側に女性教師がいるものの、男性陣が尽く賤しい人間に描かれ、女性VS男性の構図が浮かび上がって来る。
先日の「らしゃめんお万 彼岸花は散った」がそうであったように、どうも当時の日活ロマン・ポルノには、フェミニズムとは行かないまでも、男性を低く見る構図を重視する作品群があったようだ。ポルノという形で女性を搾取するようにも見える商売に従事することの言い訳みたいなものだったのだろうか?
飛鳥裕子と小川亜沙美の二人が僕の好みから外れるのも、個人的に弱い。
低予算映画が多そうなロマン・ポルノにあってはお金がかかっている感じ。
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