映画評「ファイナル・カウントダウン」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1980年アメリカ映画 監督ドン・テイラー
ネタバレあり

1979年日本に「戦国自衛隊」が生れたのに呼応するかのように翌年作られたタイム・スリップ戦争映画である。40年ぶりくらいの再鑑賞。

1979年、カーク・ダグラスを艦長とする空母ニミッツが嵐に遭遇する。それを堪(こら)えたと思うが、周囲の空気が少し違い、空には日本のゼロ戦が飛んでいる。どうも彼らは1941年12月6-7日、日本の真珠湾攻撃前日にいるらしい、と気付く。
 逆に、海で楽しんでいた大物議員チャールズ・ダーニングと秘書キャサリン・ロスは、周囲を飛ぶジェット機に驚く間もなく、ゼロ戦に攻撃され、79年から来た軍人に助けられて空母にやって来る。ゼロ戦の飛行士も捕虜となっている。
 79年の関係者は41年の人々にはそのことは内緒にしつつ、タイム・パラドックスを考慮して、日本軍の攻撃に現在の兵器で対抗するかどうか悩む。遂に決心した後、ダーニングは自らの暴挙によりヘリコプターごと焼失。直後に再び嵐が起きてニミッツやジェット機は現在に戻るが、タイムスリップに詳しい中佐ジェームズ・ファレンティーノは41年に残されることになる。

タイム・スリップものとして雑という意見もチラホラするが、そうでもない。少なくとも過去に関しては何の変化もないので問題はない。ダーニングは彼らが来たことによって消失するが、それは1941年の事実(歴史)として残っているのである。写真の方も同じ。
 問題は現在の方で、ファレンティーノがタイム・スリップに詳しい理由が最後の種明かしで解ると同時に、この時点で二人いることになってしまう。時間(歴史)が円環していると考えると、お話自体に何の問題(パラドックス)も感じないが、同一人物が年齢の違う別人として存在するのは気になる。
 この映画に関しては寧ろキャサリンがファレンティーノ共々1979年に来る方が無難なのだが、その場合は最後のお楽しみが消えてしまう。どっちを取るかですな。

ニミッツ宣伝映画でした。

この記事へのコメント

2023年10月04日 18:03
ラスト、ファレンティーノとキャサリンが夫婦っぽく車内にいませんでしたっけ? それなら、おかしくないなと見ていたんですが。
何か勘違いかもしれませんし、タイムトラベルものは、わけわからないので…。

「聖女たちのララバイ」(の原曲)が流れてきたので、吃驚しましたヨ!
オカピー
2023年10月04日 20:53
ぼう(ボー)さん、こんにちは。

>ラスト、ファレンティーノとキャサリンが夫婦っぽく車内にいませんでしたっけ?

それこそが問題なのですよ。
二人は、主人公が空母に乗る前に車の車内外で主人公と会っていたわけですが、同じ時ファレンティーノは若い姿で空母の中にもいたわけで、歳の違う同一人物が二人存在しています。
タイム・ループという理屈でも説明しきれない感じ。

>「聖女たちのララバイ」(の原曲)が流れてきたので、吃驚しましたヨ!

Laurel and Owens という曲らしいです。