映画評「ヴィナスの接吻」

☆☆★(5点/10点満点中)
1948年アメリカ映画 監督ウィリアム・A・サイター
ネタバレあり

どこかで観たことがあるなあと考えていたら、1987年の「マネキン」の元ネタでした。

デパートの経営者トム・コンウェイが、お披露目したいヴィーナス像を見せる際に使うカーテンが不調なので、社員ロバート・ウォーカーに修理を依頼する。修理に出かけた彼は、その塑像に思わずキスをすると、塑像はエヴァ・ガードナーになって、キスしてくれた青年にまとわりつく。彼の婚約者オルガ・サン・フアンが勘違いして嫉妬しまくる。
 しかし、ウォーカーとエヴァが妙な雰囲気になった頃彼の同僚ディック・ヘイムズとオルガが妙なことになる。さらに、コンウェイを思慕している秘書イヴ・アーデンは、社長がエヴァに夢中になっているのを知って諦観する。

という恋愛のドタバタを描くコメディーで、この後の3組の恋の行方がどうなるかが観客にとってお楽しみ。

終戦後大いに流行ったファンタジー系列の中でも着想的に面白い部類ではあるものの、実際に画面を通して見ると、さほど楽しめない。編集の呼吸が余り良くないのである。
 二組のカップルが妙な具合になるところで歌われるのは、ジャズ界で非常によく扱われているクルト・ヴァイル作曲の「スピーク・ロウ」で、交互に歌い繋ぐような構成になっている部分が断然良く、ちょっとしたミュージカル趣向の本作の中で白眉と言って良い出来栄え。

アルフレッド・ヒッチコック監督「見知らぬ乗客」(1951年)で偏執狂的青年を好演したロバート・ウォーカーは、その前にまず本作で注目された模様。10年後ならジャック・レモンがやったような青年像だが、3年後の「見知らぬ乗客」では全く正反対の恐怖演技を披露するのだから、なかなかの侍と言えましょうか。しかし、同作完成前に急死。精神的に問題を抱えていたようである。
 また、エヴァ・ガードナー日本初紹介(1950年公開)作品であるようで、演技力をとやかく言う役柄ではないが、華やかな女優らしい香りは濃厚。

最初の女性エヴァ(イヴ)がヴィーナスになった。

この記事へのコメント

2023年10月09日 21:54
ロバート・ウォーカーというと「見知らぬ乗客」ぐらいしか思い出さないので、本作は物珍しい趣でした。
あとは…エヴァ・ガードナーがお目当て…
オカピー
2023年10月09日 22:33
ボーさん、こんにちは。

>ロバート・ウォーカー

本作と「見知らぬ乗客」では、本当に対照的な役柄でしたねえ。
長生きしたら面白い俳優いなったと思います。